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2007-02-14 00:00
6カ国協議と日本の対応
坂本正弘
日本戦略研究フォーラム副理事長
6カ国協議は2月13日、第一段階で北朝鮮が、ニョンベン核施設の停止とIAEAの査察を受け入れ、これに対し重油5万トンを米、中、露、韓の4カ国が供給し、第二段階として、北朝鮮がすべての核施設を「無能力化」すれば、日本を含む5カ国がさらに95万トンの重油を援助するとの内容で合意した。また、並行して、米朝関係の正常化交渉(テロ支援国家の解除など)、日朝関係の正常化交渉も合意された。
2006年10月、国連は北朝鮮への非難決議を行い、日米が制裁を強化した状況から見ると急激な変化であるが、北朝鮮の瀬戸際政策が、紛糾するイラク情勢、中間選挙での敗北を抱えたブッシュ政権の変身を引き出した感がある。終わってみれば、北朝鮮は10個を超えるプルトニュウム弾頭を保有し、重油の援助を取り付ける状況だが、その無頼国振りには驚嘆するしかない。
もちろん、今回の取り決めが北朝鮮の核装備増強への歯止めとなり、朝鮮半島の非核化への道につながれば、喜ばしい。しかし、北朝鮮のこれまでの執念から見て、すんなりと核廃棄に応じるかは不明である。更に、言えば、北朝鮮は、むしろ核を持ったから譲歩を引き出せたと考え、査察などを巡り極めて紛糾する状況に発展する可能性が高いと考える。
今回の日本の対応に関連して幾つかの感想がある。
第一は、日本は2006年7月、10月と北の核・ミサイルに対し、国連で非難決議を結実させ、さらに、APECなどでも非難決議を成立させた実績があった。日本はこの国際的遺産をどの位活用したか?拉致ばかりで、核に関する日本の顔が見えなかったのは僻め目だろうか。日本はアメリカと打ち合わせ、国際世論を代弁し、北の核について、アメリカより強い主張をすることで、その顔が見え、またアメリカを支えることになる戦術もあったのでないか。
第二に、日本政府は拉致問題が片づくまで、重油の援助はしない、と言明しているが、当然である。また、正常化交渉に於いて議論される日本の経済協力は、現状では人民を苦しめ、核を開発し、拡散する無頼政権を利するのみであることは明らかである。出来得れば、援助は民主政権の成立後にしたいものである。
第三に、6者会談を北東アジアの安全保障を議論する枠組みとして発展させる構想があるようだが、歓迎である。しかし、相手は核保有国・軍事大国が多く、権謀術数にたけた国ばかりである。しかも、今後、朝鮮半島を巡って、いかなる偶発事態が起こるか予測がつかない。憲法9条の呪縛から脱して、攻撃力を持ち、普通の国としての戦略・戦術を常に錬っておかないと、事態の推移に対応できず、孤立化し、生存をすら脅かされ、国益を大きく損なう事態になることを恐れるものである。
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