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2015-08-30 00:00
「安倍談話」を評価する
加藤 成一
元弁護士
8月14日の「安倍談話」は、各社世論調査の結果を見ても概ね好評のようである。特に、「日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。」との一節は、自虐史観にとらわれ、ともすれば忘れがちであった日本人に自信と誇りを取り戻させるものであろう。
しかし、今も中国にとって、「侵略」は日本に対する優越的立場を未来永劫担保する外交手段・道具となっていることも事実である。韓国にとっての「植民地支配」も同様であろう。残念なことに、日本には、両国による歴史認識問題を手段とする「反日攻撃」に全面的に同調し、かつ増幅する左派・リベラル勢力が、政界、学界、言論界等に少なくない。しかし、「侵略」に関しては、ベ平連の故小田実氏ですら「太平洋戦争は、植民地解放の側面があった」と認めている(小田実著『平和をつくる原理』340頁。1966年講談社刊)。
何よりも、中国との間では1972年の日中共同声明、韓国との間では1965年の日韓基本条約によって、「侵略」や「植民地支配」の問題は解決済みである。そして、日本は、両国に対し賠償に代わる莫大な経済援助等を行い、これらの経済援助が両国の経済発展に大きく寄与したことは明らかである。日中共同声明では、「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」とされている。すなわち、「侵略」に対する反省や謝罪、事実上の賠償はすでに終わっており、解決済みなのである。
しかるに、これらの問題が実質的に解決済みであるにもかかわらず、何故か一方的に「反省」「謝罪」を蒸し返したのが、1995年の「村山談話」であった。その後の日本政府の外交方針を拘束し、歴史認識問題を手段とする中韓両国の「反日攻撃」を誘発し、日本の国益を著しく毀損した。今回の「安倍談話」で「謝罪」を現世代限りとすることを、国の内外に宣言したことを高く評価したい。この上は、言葉だけでなく、その実現を切望する。そのためには、日本は、「積極的平和主義」に基づき、アジアを含む世界の平和と繁栄のために一層貢献し、国際社会において名誉ある地位を占めなければならない。
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