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2015-09-07 00:00
人民解放軍の戦力の飛躍的向上と日本の対応
四方 立夫
エコノミスト
軍隊の強さはその隊列を見れば分かると言うが、今回のパレードは歩兵、車両、航空機等のいずれを見ても一糸乱れぬ統制が取れており、人民解放軍の戦力が近年飛躍的に向上しているとの見方を裏付けるものとなった。登場した兵器の中には対艦弾道ミサイルDF-21D(通称、空母キラー)、中距離弾道ミサイルDF-26(通称、グアムキラー)、大陸間弾頭ミサイルDF-58及びDF-31AなどA2AD(Anti-Access, Area Denial)政策を実行する戦力を誇示するものであった。又、オバマ大統領のアラスカ訪問に合わせてアリューシャン列島で中国の軍艦船5隻が米国領海に侵入したことも勘案し、今回のパレードは日米を強く牽制するものであった。
一方、中国は株価暴落に象徴されるように、共産党独裁体制(特に昨今の習近平主席への権力集中)と市場経済導入に伴う構造的問題が露呈し、国民の間に共産党に対する不満が募っている。その中で、中国が「国内矛盾の対外転嫁」のために今後日本に対し強硬姿勢を取る可能性は排除できない。かかる中国の海洋進出に対抗するには、我が国としては一刻も早く現在国会で審議中の安保法制を成立させ、日米同盟の強化を図り、その対中抑止力を強化することが喫緊の課題である。
他方、トランプ大統領候補者による日米安保批判に対する米国民の賞賛、著名な国際政治学者であるブレマー氏の近著”Super Power”の中の「今後米国はIndependent Americaとして世界の紛争に関わるべきではない」との主張に対する賛辞、などを見るに、米国の一般大衆の中に「米国はモンロー主義に立ち返り、米国以外の事に関わるべきではない」との声が高まってきているようにも思える。日米同盟の永続を強く望みながらも、「1年前の予告により一方的に破棄出来る」日米安全保障条約が万が一にも破棄される事態に備え、日本としても独力で自国の安全保障を確保する方策を講じておく必要があり、このことが反って同条約の継続に寄与することにもなると考える。
現代における抑止力は軍事のみならず、外交、経済、技術、文化などの総合力により成り立っているものであり、ナイ教授の言う”Smart Power”の向上が必要不可欠である。なかんずく技術革新こそがこの根底を成すものであり、優秀な技術者、科学者ならびに若者を発掘し、育成することが、国家百年の計の根幹である。よく「ポスドク問題」が報じられるが、学生や研究者が経済的な問題を心配することなく自身の研究に没頭できる環境を整備することが極めて重要である。戦後70年の節目の年にあたり「技術立国」の原点回帰を提唱したい。
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