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2015-09-11 00:00
(連載1)安保激突とアベノミクス「第2ステージ」
角田 勝彦
団体役員、元大使
9月8日の総裁選で安倍晋三首相は無投票で再選された。野田聖子氏が出馬すれば参院での安保関連法案審議に影響する可能性があったが、これで与党は今国会中の安保関連法案成立に猛進するだろう。野党の反対から見て強行採決になろう。60日ルール適用も現実味を帯びてきた。多くの国民の反対から内閣支持率の低下は避けられまい。自民党の谷垣幹事長は安倍首相に、これから「池田勇人首相の役割を果たしてほしい」と進言した。保革が激突した60年安保の岸政権を引き継いで「寛容と忍耐」を打ち出し「所得倍増」を掲げ経済成長を追求して成功した池田首相の政策運営を学ぶよう勧めた訳である。安倍首相は、総裁選へ向けた政策所見で「アベノミクス」の「第2ステージ」に取り組むとし、経済最優先の政権運営を続けていくと強調した。「来年の参院選までひたすら経済政策をやる」と約束した。
安倍内閣は、安保関連法案の成立を既成事実化して国民に経済的成果の飴を与え支持率向上を目論んでいるわけだが、60年安保の際とは違いが大きい。まず目に見える違いは、岸首相は退陣したが安倍首相は長期政権を狙っていることである。ニュー安倍でもない。来年の参院選で勝利して憲法改正を目論んでいるとすら見られている。また60年の安保新条約の場合と違い、安保関連法案は違憲であるとの批判は、成立後もなくならない。違憲訴訟も行われよう。さらにもっと大きい問題は、「所得倍増」は論外としても期待するような経済成長が実現できるかである。アベノミクス「第2ステージ」の先行きは明るくない。激突と強行採決のあとの支持率の回復は容易ではあるまい。安保関連法案採決前の「寛容と忍耐」こそ望まれる。
安倍晋三首相は9月10日、首相官邸で公明党の山口那津男代表と会談し、安保関連法案の来週中の成立を目指す方針を確認した。これまで60日ルールの適用に強く反対していた山口氏も首相との会談後記者団に衆院再可決の可能性を否定しなかった。野党6党も11日党首会談を開き内閣不信任決議案や首相問責決議案の提出を視野に安保関連法案への対応を協議する予定である。激突必至である。この間、8日総裁選再選で今後3年の任期を確認された安倍首相の周辺からは、総裁選の政策ビラに「2020年。その先へ」と書かれたように東京オリンピックまで視野に入れた長期政権をめざす声も上がっている。捕らぬ狸の皮算用だろう。
10月内閣改造を控え党内基盤は揺るぎなく、外交面でも安保関連法案成立による対米関係強化、10月末にも実現が予定される日中韓三国首脳会談実現、2016年5月の伊勢志摩サミットなど好材料が続く。9月下旬、国連総会出席のために訪れる米ニューヨークで、ロシアのプーチン大統領と会談する計画もある。9月10日の川内原発1号機営業運転移行で原発再稼働も実現した。(つづく)
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