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2015-09-12 00:00
(連載2)安保激突とアベノミクス「第2ステージ」
角田 勝彦
団体役員、元大使
しかし、2018年9月の二期6年の任期満了のあとの20年7月の東京オリンピックとなると、別の次元の話である。とりあえず経済社会面で実績を挙げ、予想される安保関連法案の強行採決で下落必至の内閣支持率を上向かせ、来年の参院選で勝利することが必要である。このため安倍首相は総裁選へ向けた政策所見で「アベノミクス」の「第2ステージ」に取り組むとし、経済最優先の政権運営を続けていくと強調した。成長戦略の柱として中小企業対策、農業政策、地方創生、国土強靱化などの政策を列挙している。
しかし、安倍首相は実績を誇示しているが、アベノミクスは踊り場にある。めちゃくちゃにカネをばらまく金融政策(日銀のバズーカ緩和)は株価上昇と円相場下落をもたらし、大企業収益の増大などに貢献したが、目的としたインフレ目標「(2013年4月から)2年程度で2%」は、原油価格下落があったにせよ、実現していない。がっかりする必要もない。デフレ脱却が重要というが、収入が増えなければ、例えば年金族が支出を増やす訳がない。物価が上昇しない方が有り難い。格差も問題になっている。
金融政策に比し財政政策と成長戦略の成果には目立ったものが少ない。安倍首相も道半ばと認めているとおりである。2017年4月の消費税2%引上げの問題もある。なお背後には財政健全化の大問題が控えている。さらにいまや外部環境が問題になっている。中国経済の減速は株価の乱高下をもたらした。米国FRBの利上げへの懸念もある。TPPを巡る交渉は足踏み状態にある。
このような不安定な状態で安保関連法案(とくに集団的自衛権一部容認関連)の強行採決を図り、国会の安定と国民の一体感を損なうのは得策とはいえない。例えば安保関連法案優先のため、多くの成長関連法案の成立が見送られている。そして安保関連法案には成立させても違憲判決が出る可能性がある。大多数の学者のみならず、元最高裁長官の山口繁氏は、9月3日、共同通信の取材に応じ、安保関連法案について「集団的自衛権の行使を認める立法は憲法違反と言わざるを得ない」と述べている。激突と国民の分裂を避ける叡智を求めるのは無理だろうか。(おわり)
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