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2015-09-27 00:00
久々の日露外相会談で両国関係を仕切り直し
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシアを訪問中の岸田外相は21日夕、モスクワでラブロフ外相と会談した。日本とロシアの報道をダブルチェックすると、両国は1年7カ月振りの外相会談で、この間の双方のあつれきを乗り越え、仕切り直しをしたといえそうだ。タス通信などによると、会談冒頭にラブロフ外相は日露外相会談が1年半以上も開かれなかったことを取り上げ、「これはアジア太平洋地域の隣国で重要なパートナーである両国にとって、許しがたいほどの空白期間だ」と述べ、暗に日本側を非難した。ウクライナ紛争に対する西側の外交の停滞を指した発言とも受け取れる。その一方で、ラブロフ外相は「会談の再開により、難しい問題でも修正し直すことができるとの期待を持たせてくれる」と語っており、日本への非難は期待の裏返しとも言える。
これに対し、岸田外相も「日露間には多くの問題があり、二国間の対話を続けることは非常に重要だ」と応じ、平和条約締結問題を含め、建設的な対話を行うよう求めた。こうしたやり取りの後、具体的な会談に入ったと見られるが、メドベージェフ首相ら閣僚の相次ぐ北方領土訪問に対し、岸田外相が「極めて遺憾」と抗議するなど、いつもより厳しいやり取りの会談となったとみられる。会談後の共同記者会見では、ラブロフ外相が北方領土問題に関し「ロシア政府は日露間の平和条約締結問題で結論を探す用意がある」と述べ、両国の立場の相違は依然として大きいが、両国国民に受け入れられ、支持される結論を探すことを確認したと明らかにした。これは事実上、両国政府で領土問題の交渉を継続することで合意したことを示している。
ラブロフ外相は両国の合意を踏まえて、10月8日にモスクワで両国外務省の次官級協議を開くと公表した。北方領土問題解決のカギを握るプーチン大統領の訪日時期については具体的な合意はなかったが、次官級協議の日程が決まったことで、事務レベルの協議が再開され、今後の首脳会談に向けての準備が進むことになろう。日露間の対話がウクライナ紛争の絡みで長い間中断していただけに、今の状況では精一杯の成果とも言える。
ただ、インタファクス通信が記事の最後の部分で<ラブロフ外相は日本側と北方領土については協議しなかったと断言し、「領土問題は我々の協議の対象ではない」としている>と断り書きを入れているのは気にかかるところではある。だが、これはロシア側が日本側の「領土交渉」という表現を受け入れず、「未確定の領土の線引き」と主張しているからで、いちいち目くじらを立てるほどではないだろう。
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