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2015-09-28 00:00
安全保障法案の可決成立にあたり思う
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
9月19日未明、参議院本会議でこの国会の最大の争点だった安全保障法案が、可決成立した。衆議院では110時間余、参議院でも100時間に及ぶ、戦後の大法案の中でも異例の審議時間の長さであった。我が国をめぐる安全保障環境は、近年厳しさを増している。いつ何時不測の事態が起こらないとも限らない。一方、現在の安全保障体制には「穴あき」の部分が多く、実際に我が国の領土や国民の生命を守り切れるかどうかは、心許ない状況である。
そこで安倍政権としては、長年にわたり切れ目のない安全保障体制の構築に向けて、慎重な議論を続けてきた。その結論として、集団的自衛権の限定容認と、非戦闘地域における国連決議などに従って行動する、他国軍の後方支援を行うことなどを柱とした、新たな安全保障体制を目指すこととなった。そのために作られた安全保障法制は、我が国をこれまで以上に、しっかり防衛するための手段になる。決して「戦争をする国」にすることでもなければ、「戦争に巻き込まれる」ことでもない。むしろ戦争の発生を未然に防ぎ、抑止力を強化することである。
国会審議ではしばしば憲法9条との関係が議論された。歴代政府の憲法解釈は、我が国が他国から攻められた時、自力でこれを排除するという「個別自衛権」までは認められるとしてきた。しかし今回はこの解釈を一部拡大して、我が国が攻撃されてなくても、我が国を守っている密接な関係にある国が、第三国から攻撃され、そのことが我が国の安全に致命的な影響を及ぼす場合、共同してそれを排除することを可能とするものだ。この行為は国際法上、「集団的自衛権」の行使と見なされる場合もあるが、密接な関係にある国が第三国から攻撃されるということは、我が国に対する攻撃の着手と考えるべきで、その時点で自衛権を発動することは、憲法が許す専守防衛の範囲内にある。この時の集団的自衛権は極めて限定的である。またその時点から自衛権を発動していかないと、我が国の平和と安全を守り切ることは、大変難しくなる。
しかしこのような理論立ては少々分かりにくく、政府・与党による説明をこれほど長期間かけても、まだ国民の理解は十分には得られていないのも事実だ。またこの法案を「戦争法案」などとレッテル貼りする勢力が存在し、冷静に議論する環境を阻害してしまったことは、大変残念である。我々は、安全保障法が成立したから何もやらないのではなく、今後ともこのような説明の機会を出来る限り持つとともに、これまでの国会内外で出された疑問点や懸念に対して、特に個別具体的な事例に即して、丁寧に答えていかなければならない
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