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2015-10-19 00:00
大筋合意したTPP交渉について
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
アメリカのアトランタで開催されていたTPP閣僚会合、当初の予定は2日間だったが、6日間に大幅延長され、粘り強い交渉の結果、ようやく大筋合意に到達した。アメリカ、日本をはじめとする11ヶ国が参加し、31もの分野で交渉したわけだから、各国の利害が複雑に絡み合い、長い時間がかかったのは仕方がない。日本においても、他の参加国においても「勝った、負けた」と喧しいが、総体的には世界のGDPの40%近くを生み出す経済圏で、多くの関税が撤廃ないしは削減され、取引きのルールが改善される意味は、大変大きい。EUという巨大市場の割合が25%前後であることを考えると、さらに大きな期待が膨らむ。
しかし手放しで喜んでばかりはいられない。今後、各国では議会の承認を得なければならない。まだ合意内容が不明で、今後具体的な内容が判明した段階で、「こんなはずではなかった」と業界から反発も出るかも知れない。アメリカ次期大統領に最も近いと言われるヒラリー・クリントンが、最近反対に転じたことも気になるところだ。2年間に11カ国全ての批准が得られない場合、日米を含む6ヶ国以上が批准すれば、条約は発効されるるようだが、折角ここまで交渉を続けてきたのだから、このようなチャンスを逃すことは避けなければならない。そして11ヶ国の成長エネルギーを取り込み、広大な市場を相手にしなければならない。
TPP交渉の結果、曲がりなりにも自由貿易が実現することは、各国の得意分野がより一層強くなることを意味する。同時に、生産性の低い不得意分野は、マイナスの影響が避けられない。我が国で言えば、農業分野が該当する。米、麦、牛肉・豚肉など、重要5品目については、政府の粘り強い交渉の結果、米がミニマムアクセスを7万トン強増加した。これによって、牛肉・豚肉は将来に向けて段階的に関税引き下げとなるが、セーフガードは付けることが出来た。まだまだ不満もあるが、何とか5品目の骨格は守り切れたのではないかと考える。
しかし、農産物総数の約半分が、関税撤廃ないし引き下げとなったため、生産農家には痛手である。効果的な国内対策を一日も早く確立したい。そして出来れば質の良い国内産品を輸出して、「攻めの農業」への転換を目指したい。
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