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2015-10-20 00:00
プーチン大統領は西側との連携の道を模索すべき
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシアのプーチン政権は、内戦が続くシリアで9月末から空爆を行っているが、国民の7割が空爆を支持していることが明らかになった。中立系の世論調査機関レバダ・センターの最新の調査結果で分かった。その一方、旧ソ連が軍事介入し、撤退を余儀なくされたアフガニスタンの“二の舞”を心配する国民が多く、シリア紛争で米国との対立が深まっていることに懸念を抱いている国民も少なくない。プーチン大統領が9月28日の国連総会で、過激派組織「イスラム国」(IS)などと戦う「反テロ連合」の創設を呼び掛けた2日後、ロシア軍が突然空爆に踏み切った。だが、標的はISではなく、米欧などが支援する反体制派勢力との見方が強まり、米国などとの亀裂が一層深まっている。
今回の世論調査は、10月2日から5日にかけてロシアの46地域で1600人を対象に行われた。その調査結果によると、ロシアの空爆を正しいとみている人が72%にのぼり、正しくないとみている人は14%にとどまっている。空爆を行った理由については、「ISおよびシリアの反体制派勢力と戦っているアサド大統領を支援するため」とみている人が47%と一番多く、次いで「ロシアはそもそも軍事介入すべきではない」という人が28%だった。「ISとの戦いでは西側諸国と連携すべきだ」という人は8%足らずだった。
一方、シリア紛争へのロシア介入のについて「アフガニスタン紛争の二の舞になる可能性がある」と見ている人が78%にのぼった。この紛争は、旧ソ連が1979年にアフガニスタンへ軍事介入し、「ソ連崩壊の引き金になった」との見方が強い。このため、ロシア軍の海外派遣を認めた上院決定を容認する人が46%いる半面、33%が反対している。今の体制では、表立って政権を批判できないが、本心では批判的な国民感情が透けて見える。また、米国との関係について「シリア紛争で米露が共通の理解を得ることができる」と、米露和解を期待する人が49%いる半面、「中東政治は米露関係を調整する結果をもたらさない」とみている人が30%いる。依然として過半数近くの人が“反西側感情”をもっていることを暗示している。
プーチン大統領は空爆に踏み切った理由を「ISと戦うため」と明言したが、国民はアサド政権支援という大統領の本音を見抜いている。そのうえ、地上軍を大量に派遣して戦費がかさみ、ソ連経済を苦境に追い込んだアフニスタンの二の舞を懸念している点でも、ロシア国民の見方は的を得ている。プーチン大統領はこうした国民の声をしっかりと受け止め、西側との連携の道を模索すべきだろう。
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