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2007-02-21 00:00
納税の季節に思うこと
大藏雄之助
評論家
ちょうど去年の収入について納税額の自己申告が行われているが、課税方針は国によって、また時代によってさまざまであり、誰もが満足、あるいは納得するような、最適の税制というものは存在しない。けれども、国家財政と個人所得の間で、私が考えていることは、できるだけ多くの方に知っておいていただきたいと思うので、一応ここに書いておこう。
20年ほど前、テレビ局に勤務していたころ、私は高額所得者として毎年確定申告していた。実際に私に国民の上位5パーセントに相当する所得があったとは思えない。一部の農家とか自営業者とか株の配当だけを収入としている人とか、さらには巧妙な脱税者とか、私よりもずっとゆとりのある人々がいた。だが、それでも私は自分の税金に関して重いという苦情を言ったことはない。ロンドンで暮らした経験によれば、イギリスの税率の方が遙かに高かったし、所得の多い人が社会的により多く負担するのは当然だと心得ていたからである。その基本的な考えは今も変わらない。同様の趣旨で、私は多少の資産を持っているが、相続税の軽減にも反対である。
課税は何よりも公平であるべきだ。それからすると、脱税を許さないために国民総背番号を実施するのがよい。歳入を一定に仮定すれば、脱税が防止できれば納税者の95%が得をするはずであるのに、これが日本では評判が悪い。EUが加盟に当たって15%を義務づけている消費税(付加価値税)も、低所得者に不利であるという理由で反対が強い。低所得者対策は現に生活保護等で行われているように社会福祉政策であって、それを税制に求めるのは明らかに間違いだ。
イギリスでは土地の評価額を自分で決める制度がある。安く申告しておけば維持は楽だが、自治体はいつでもその3倍で買い取ることができる。石弘光前政府税調会長に提案したが、「日本にはなじまない」とのことだった。
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