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2015-11-24 00:00
(連載1)「日本大好き」ウルグアイ大統領の来日
角田 勝彦
団体役員、元大使
「地球儀俯瞰外交」と称する安倍総理の外遊は、11月中旬現在で訪問国・地域62(のべでは80)に達し、歴代1位を更新しつつある。具体的成果はともあれ、首脳外交が世界で日本への認識を深めていることは間違いない。たとえば11月上旬、かって私が在勤したウルグアイのバスケス大統領が来日されたが、今年3月就任(2期目)後初めてのアジアでの訪問先に、経済的つながりを増している中国でなく日本を選んだのは、国と国とのつながりの多面性を物語るものである。安倍外交が中小国を含めますます広く展開していくことを期待する。
ウルグアイは人口340万人、GDP580億ドルの南米の小国であるが、民度が高く、安定した民主主義国として、中南米のオピニオンリーダー的役割を果たしている。国連平和維持活動(PKO)への貢献は大きく、2016年・17年には、日本と同じく国連安保理非常任理事国となる。メルコスール(南米南部共同市場)の創設メンバーであり、南米地域の物流ハブとして重要性が高まっている。日本とは伝統的友好関係にあり、貿易及び投資の拡大を期待している。本年1月には両国間で投資協定が締結された。
ウルグアイは、地理的に見て日本からもっとも遠い国で、在留邦人や進出企業も少なく、一般人にあまり馴染みのない国だったが、最近バスケス大統領と同じFA(左派連合「拡大戦線」)に属するムヒカ前大統領が「世界でもっとも貧しい大統領」とマスコミなどに取り上げられたこともあり、関心が高まっている。バスケス大統領も第1期(2005~10年)時代、本業の医師としても働いていた。人道主義の信念に基づくものであるが、大統領の俸給が少ないためという者もいた。さすがに大統領職の重圧から、今期は医師としての仕事はしていないが、今回のフランス・日本公式訪問のため10月26日搭乗したモンテビデオからパリ行きの機内で、食物アレルギーで重い窒息状態になった10代のフランス人女性を手当てして、救ったという。医師の助けを求める機内放送が流れると、一緒にいた主治医と共に名乗り出た。女性はピーナツによるアレルギー症状を起こしていたため、飲み薬と注射などで治療したという。この逸話は日本国内でもかなり話題になった。
さて今回の公式訪日である。ウルグアイ大統領による日本訪問は、2009年にバスケス大統領(1期目)が訪日して以来、6年ぶりである。バスケス大統領にとっては、個人的なスポーツ関連及び医学関係の訪日を加え4度目の訪日になる。11月6日天皇陛下はバスケス大統領とご会見になられ、夜には安倍総理との初めての首脳会談と夕食会が行われた。両首脳は、日本企業のウルグアイ進出を両国政府が後押しして経済連携の強化を図ることで一致し、今年1月に署名された両国間の投資協定発効に向けた作業を加速させることでも合意した。両国がそれぞれ2016年から国連安全保障理事会の非常任理事国を務めることを踏まえ、安保理の討議での緊密連携などを明記した共同声明も発表された。日本の安保理常任理事国入りへの支援も表明された。(つづく)
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