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2015-12-15 00:00
(連載2)ASEAN経済共同体(AEC)関連レポートについて
池尾 愛子
早稲田大学教授
『アセアン投資レポート 2015』は、アセアンでのFDI展開についてより深い理解を促進するために作成された迫力あるレポートである。域外多国籍企業のFDIによって、技術や経営ノウハウの移転が進行して、この地域の経済成長に貢献したと思われる。もっとも全体としては、インフラ投資に大きなウェイトが置かれてきており、更に電力、電話、運輸、情報通信とインフラ投資に期待が大きく膨らんでいる。設計・調達・建設(EPC)において、関連各種の企業が仕事を請け負って関係が複雑になっていることが、幾つかの事例をあげて図や表により解説されている。
『投資レポート』は、域外だけではなく、域内の多国籍企業によるCLMVへのFDIが域内の成長格差の解消に役立っているとしている。こうした途上国間のFDIが「南南」協力の強化に向けて重要な役割を果たすとしている。民間企業には民間企業の戦略があることは認識されている。同時に、UNCTADが途上国に、「規制する権利を守ること」「投資紛争解決手段を改革すること」「投資環境を改善すること」等を助言していることが注目される。
ASEAN事務局作成の『アセアン統合レポート』は、『AECブループリント2015』の評価と今後の課題、『AECブループリント2025』の解説を含んでいる。『アセアン・サービス統合レポート』はASEAN事務局と世界銀行(本部ワシントンDC)の共同レポートである。アセアン諸国が製造業の成長を導く政策は積極的に採ってきたものの、サービス分野への政策は相対的に少なくこの分野の成長が遅れていることが繰り返し指摘されてきたことへの対応策を提案したといえそうである。国際価値連鎖(global value chain)を図解し、付加価値の生成過程が解説されていることが目を引く。アセアン企業のグローバル展開のための指南書のような様相を呈している。技術革新や新製品の開発、知的財産の保護が今後進むかどうか、見守ることになる。
リーフレット『一目でわかるASEAN経済共同体』(ASEAN Economic Community at a Glance)の作成には、欧州連合(EU)が協力しており、EUのアセアンや東アジアへの関心が高まっていることが読み取れる。実際、2013年、2014年のアセアンへのFDIは、EUからがトップであり、アセアン諸国の域内投資がそれに続いていて、アセアンの先発国企業が後発国へのFDIを増やしている。来年以降、競争が激しくなる局面が増えるのだろうか。(おわり)
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