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2016-01-07 00:00
(連載1)波乱の新年を迎えて未来を考える
角田 勝彦
団体役員、元大使
新年早々のサウジアラビアのイランとの断交は中東混乱の激化を予見させ、1月6日の北朝鮮の水爆(自称)実験は世界を揺さぶった。これらは、従来のウクライナを巡るロシアとNATOの対立や南シナ海を巡る中国と米・アジア諸国の対立に加わって、今後の国際関係を支配する構図が「列強対立と利害を共にする主権国家間の同盟」となる可能性を強めた。我が国も日米同盟強化に邁進している。米国の権威失墜が主因とされるいわゆる「世界秩序の崩れ」の解消には、国際政治的見地からは国連やEUに象徴される「集団安全保障体制」(「不戦」と「価値観の共有」、さらには「平和的統合」が課題)を模索することを第一義とすべきであるが、それはそれとして、ここで指摘したいのは、国際関係を含む人類社会そのものが、最近の爆発的な先端技術誕生を中心とする経済面の変化により、大きく変わりつつあるということである。
マルクスは「下部構造(経済の仕組み)が上部構造(法律的・政治的上部構造及び社会的諸意識形態)を規定する」と述べたが、まさに私の定義する知本主義の誕生が市場資本主義の経済的社会構成体及び主権国家と国際関係を変えつつあるのである。どのような経済的社会構成体と国際秩序が主流となるかはまだ明らかでない。地域差もあり、あるひとつの可能性が全世界的に同時に現出する可能性は少ない。しかし、抑止力増強の名目の下に2度の世界大戦を引起こした「同盟による抑止力」構想に固執することは間違いである。おそらく我々の次の世代は別の世界に生きているだろう。
私は、本欄にも何回か寄稿したとおり、第二次大戦後、世界で数百年に一度の大変容(ニュールネサンス)が生じており、それも冷戦終焉以降、すでに後期に入っていると認識している。基本的変化は、近・現代の基礎となったウェストファリア体制の変更(国家主権の不平等化と内政干渉容認)及び資本主義体制の変化(世界一体化。知本主義へ)で、イラク戦争・対テロ戦争などのいわば新しい三十年戦争のあと、遠くない将来に、超現代(メタモダン)がやってくるとの考えを持っている。超現代には、パワー(極)のあり方を分析して見出される4つの可能性と極のあり方に関係ない二つの可能性(ユートピアと人類滅亡を含む暗黒世界)が考えられる。
第一は単極、すなわち世界政府を含む「帝国」(覇権国)である。第二は多極、すなわち、少なくとも列強の併存関係である。第三は無極である。G0(ジーゼロ)と呼ぶものもいる。テロ組織が横行する乱世につながる世界である。第四は分極と呼べる世界である。「極」自体がソフトパワーを含め政治・軍事の分野以外からも考察される世界である。分野別に各種共同体が生まれ必要に応じ連携することとなろう。
第一の可能性は米国を中心に展開してきた。すなわち1989年の冷戦終焉後唯一の超大国となった米国は、新世界秩序の樹立、とくに国連の平和維持に関する役割強化を求めソマリア及び旧ユーゴで「平和執行」を試行したが、これは失敗した。他方、世界の保安官としての意識から、1991年1~2月にはクウェ-ト解放のための湾岸戦争を実施しイラクに勝利した。(つづく)
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