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2016-01-07 00:00
北朝鮮に断固たる制裁を!
四方 立夫
エコノミスト
今回の北朝鮮の「水爆実験」は、同国が1994年の米朝枠組み合意、並びにその後の6カ国協議、特に2005年の核兵器放棄の共同声明等を続々と破棄し、結果的に5カ国が同国に核兵器開発の時間を与えてしまった結果であり、最早北朝鮮との対話や合意は何の意味もなさず、5カ国が一致して断固たる経済制裁を課す以外に、もはや同国の核武装を止める手立てはない。
我が国は拉致問題解決のために経済制裁を緩和したが、これを強化し、従来は報告が義務づけられているだけの日本から北朝鮮への送金は、今後これを一切禁止すべきである。現在パチンコ店や風俗店の多くは北朝鮮系の企業が経営しており、彼等から北朝鮮への送金額は年間数百億円に上るものと推定され、その全面禁止は同国に大きな影響を与えることになる。2005年米国財務省がマカオのバンコ・デルタ・アジア(BDA)をマネーロンダリングの主要懸念先金融機関に指定し、愛国者法311条に基づく特別措置として全米の金融機関にBDAとの取引を禁止すると共に、マカオ政府がBDAを管理下に置き2,400万ドルの北朝鮮関連口座を凍結したことが、北朝鮮に多大な影響を与えたことからすれば、我が国の送金全面禁止は有効な手段と考える。
米国は、1988年に北朝鮮をテロ支援国家に指定したものの、2008年にはこれを解除したが、これを再指定し、我が国と歩調を合わせて米国金融機関との取引停止などの経済制裁を強化することが、資金の面でも心理的な面でも大きな効果があると思われる。2013年の核実験の際にも経済制裁が課されたが、中国が北朝鮮との貿易並びに援助を継続したため影響が軽微であったことから、今回は中国が友好国である同国を「事前通知がなかった」とし「非難」していることを踏まえ、中国に6カ国協議のメンバーの一員として有効な経済制裁を課さしめ、5カ国が一丸となって北朝鮮に圧力を加えることが喫緊の課題である。
中国との貿易や援助が継続している状況下でも、北朝鮮のGDPは国連統計によれば2012年の15,907百万ドルルから2013年は15,454百万ドルと減少しており、度重なる干ばつなどの被害から特に農村地帯において毎年百万人規模の餓死者が出ている報道がされている。これらのことから、5カ国の一致団結した経済制裁による封じ込め政策は有効であると思われる。尚、この際我が国として恐れるべきことは、朝鮮総連並びに日本人になりすました北朝鮮工作員によるテロ行為である。これに対しては、マルサが暴力団対策において最も有効であったように、公安当局と財務当局が密接に協力して資金の締付を実施し、戸籍を徹底的に調査して、不審者を炙り出し、特殊部隊の拡充強化により首都圏を中心に防備を固めることが肝要である。
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