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2016-02-23 00:00
野党の安保廃止闘争は「亡国」の戦い
杉浦 正章
政治評論家
「国民連合政府」を「横に置く」とはよく言った。恐らく共産党委員長・志位和夫は徹夜で考えたに違いない。民主党内の反対を考慮して、事実上の「棚上げ」または「断念」を「横に置く」と格好づけたのだ。政策は棚上げにして何が何でも「あの夢」よもう一度ということらしい。あの夢とは、国政選挙の前に去年の夏国会前で10万人を集めて安保法制反対のシュプレヒコールをとどろかせた大衆動員だ。志位はあれに興奮したのだ。61歳の志位は安保反対闘争を全く知らないから、興奮するのも無理はない。しかし安保闘争に見られた革命前夜を思わすムードなど今の大衆運動にはさらさらない。共産党の狙いはそば屋でトロのにぎりを求めるが如しだ。虚構を追っているのだ。しかし、志位には横に置かないものがある。それは参院選で共産党候補を、ひき降ろして、民主党に候補を絞るという戦術だ。2009年の総選挙で民主党に308議席を取らせる原動力の1つとなった「候補者降ろし」を参院選でも展開して、にっくき安倍政権を窮地に陥らせようというわけだ。主義主張の異なる政党が手を組むことを野合と言うが、まさにその路線を臆面もなく進んでいる。おまけに選挙運動を進めている自党の候補をひきづり降ろすのだから、ヒトラーもびっくりの全体主義路線だ。民主主義政党は国民と政治をつなぐ組織であり、選挙において候補を当選させることが大きな使命だ。ところが、共産党は地方支部の意向などあってなきが如し。党首の思惑でどうにでも出来るのだ。個人のすべては全体に従属する全体主義政党であり、末恐ろしさを感ずる政党でもある。
赤旗を読んでいれば分かるが、今最大の狙いは「若者を組織化して誘導する」動きだ。18歳選挙権実施を目当てにナイーブな高校生らを誘導して、野党票に結びつけようとしている。生き馬の目を抜くような動きであり、このところ選挙などどこ吹く風と、だれまくっている自民党など足元にも及ばぬすばしっこさだ。近ごろ力を入れているのは戦争法に反対する高校生グループ「T.nsSOWL(ティーンズ・ソウル)」への肩入れだ。しんぶん赤旗でデモを大々的に取り上げ、コラム「きょうの潮流」では「全国いっせいに立ち上がった高校生。日本の政治に春を呼ぶデモです」と扇動している。これでは純粋な高校生まで共産主義イデオロギーの毒牙にかかりそうで心配である。新有権者への働きかけを自民党は根本から見直した方が良い。もともとネトウヨなど保守化が強いのが若者の傾向である。“毒牙排除”へと動くべきだ。
野党5党の結集は「国民連合政府」の挫折で、空中分解するかと言えばそうでもない。むしろ「野合路線」が強まった。憲法観が異なろうが、消費税で食い違おうが、なりふり構わぬ参院選挙共闘を推し進めようとしている。言ってみれば、志位は押しかけ女房のように民主党代表・岡田克也にすり寄って、ぎょろ目の岡田を秋波でしびれさせている。その背後には遣り手婆さんのごとき小沢一郎がいる。これもなりふり構わぬどころか、ふんどしをしめて土俵に上がりたがっているのだ。こうして野党5党の選挙協力路線がまがりなりにも出来上がりつつある。加えて野党は、志位の夢の通り国会前に10万人集めるために、2段階で安保法破棄に動く。野党5党が足並みをそろえた安保法廃止法案で、まず集団的自衛権の限定行使を撤回。そのうえで、民主、維新による現行憲法の枠内で自衛隊活動を拡充する法制の二段構えの対応だ。ここでも自民党は「審議に応じないから廃案になる」と楽観視しているが、もともと野党は成立など考えてもいない。狙いは院外闘争、選挙闘争にあることに着目しなければなるまい。それにつけても、はっきり言って野党は「亡国の戦い」を恥ずかしげもなく実行に移すものである。極東情勢に目を向けるがいい。北朝鮮による原爆とミサイル実験は安保法制の正しさをまさに立証している。
野党が主張し、プラカードを圧倒的に占めた「徴兵制反対」と「戦争法案反対」のプロパガンダは、成立後半年を経た今でも成り立つだろうか。政府部内を見渡してもその兆候どころか気配すら見えないではないか。逆に北朝鮮の「必殺刈り上げ頭」の思考は危険極まりない。日本のイージス艦がアメリカに飛ぶ北のミサイルを迎撃できる場所にいながら、迎撃せずに見送った場合どうなるか、分かっているのか。米国は日本に裏切られたとして、東京、大阪に向かう北の核ミサイルを迎撃することを躊躇するかもしれない。躊躇は核攻撃の場合致命的である。まさに安保法は極東の安全保障の要であり、これを廃案に導く法案は、国家の安全保障の基本を知らない「国賊法案」に他ならない。その抑止性が重要なのであり、「徴兵制」「戦争法案」のプロパガンダは当初から破たんしていたのだ。政府・自民党は野党法案の審議に入らないのは良いにしても、予算委などの議論を通じて正々堂々と「安保論争」を展開して、その是非を国民に問うべきであろう。支持率が高いからと言って油断すると、足元から崩されるのだ。
選挙でも「北のミサイルが飛んできてもいいのか」を問えば良い。こうみてくると与党は野党の選挙協力と安保法案を逆手にとって、国民の支持を得る絶好の機会が到来したと言える。ダブル選挙のチャンスである。公明党代表・山口那津男が依然「衆院選も一緒にあるのではという人がいるが、この参院選にしっかり臨み、政治を安定させるのが本命だ」などと慎重論を述べているが、事態を正確に掌握していない。参院選単独では野党共闘で自民党苦戦が必至なのである。ダブルにすれば参院32小選挙区のかなりの部分で野党共闘が成立しても、衆院295の選挙区では共闘にねじれが生じて野党が不利になるのだ。結果的に衆参で自民が勝つ構図が山口には読めないのだ。創価学会幹部の中で今年に入って「どっちみち年内に2度国政選挙をやるなら、1回で終わらせる方が手間暇かからない」という見方が強くなっていることを、山口は知らないのだろうか。学会から干され始めたのかと思いたくなる。
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