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2016-04-04 00:00
消費再増税の延期はあるか?
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
安倍内閣は2014年4月から、消費税を5%から8%に引き上げた。ところが、その後の消費低迷により、デフレ脱却というアベノミクスの命題が難しくなり、10%への再増税を2015年10月から上げるところを、2017年4月へ18ヶ月遅らせた。安倍内閣はその政策選択の是非を問うため、衆議院解散総選挙を14年12月に断行し、与党の圧倒的勝利により信任された。今年に入り、中国経済の予想以上の減速や、原油など自然資源価格の低迷による新興国の不調で、年初来の世界経済は弱含みで展開している。この状況を踏まえて、予定通り消費再増税行うべきかどうか、政府与党の間で再延期の可能性が取り沙汰されている。
安倍総理は「東日本大震災クラスの天変地異や、リーマンショックほどの経済の混乱がない限り実施する」と主張していたが、最近ではかなり弱気の発言が目立っている。「再増税で日本経済がおかしくなったなら、本末転倒だ」「再増税しても税収が上がらなければ、再増税の意味が失われかねない」などである。さらに最近は、ノーベル経済学賞受賞者でコロンビア大学のスティグリッツ氏など、世界経済の専門家を官邸に呼んで、盛んにヒアリングを続けている。表向きは伊勢志摩サミットの議長国として、世界経済の動向を見極める材料を得るためとしているが、実際は再増税延期の理由を探している、と言っても間違いではないだろう。
経済は生き物であり、予定通りに行かないのは常のことだが、私は一度リスケジュールした再増税は、余程のことがない限り、予定通り実施すべきと考える。確かに再増税による消費の落ち込みは当然予想され、当面の税収が落ち込むことも覚悟しなければなるまい。しかし、それ以上に重要視しなければならないことは、世界経済における我が国の信用である。財政規律のタガがこれ以上緩むことは、日本の信用を貶めることになる。はじめての軽減税率の導入も与党内であれだけ苦労し、低所得層や中小零細企業の負担増への配慮も、出来うる限り対応しているはずだ。
消費税増税の是非は、目の前の景気動向だけに目を奪われることなく、中長期的な視野に立って判断すべきである。国の財政規律にかける姿勢を内外に示すという、重要な観点を決して忘れてはならない。
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