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2016-04-18 00:00
プーチン大統領、治安強化に向け「国家親衛隊」創設を決定
飯島 一孝
ジャーナリスト
プーチン大統領が大統領直属の治安機関「国家親衛隊」をつくるとの報道は以前からあったが、4月に入ってついに創設に踏み切った。ロシア経済の悪化が進んでいることから、2018年の次期大統領選挙に向け、治安対策に本腰を入れる構えといえる。ロシアからの報道によると、国家親衛隊は内務省軍や特殊治安部隊を一体化させたもので、40万人規模の組織にする方針だ。ロシアには、国防省が統括する軍隊とは別に、内務省が統括する準軍隊がいくつかあるが、それらを統合し、大統領の指揮下に入れるとされる。そういう意味では、独裁政権によくみられる治安部隊の「私兵化」ともいえよう。
もう少し詳しく見ていくと、国家親衛隊には容疑者の拘束、家宅捜索、広場封鎖、私有車の接収など、幅広い権限が与えられる。いざとなれば、武装組織に対する発砲も許される。この法案をみるかぎりでは、テロリストだけでなく、反体制派運動の指導者への予防拘束も可能になるだろう。この親衛隊の長官には、元大統領保安局長のゾロトフ氏が指名された。このポストは、文字通り大統領のボディーガードであり、新組織の狙いが透けてみえる。それだけ、プーチン大統領が今後の情勢変化に危機感を感じているのだろう。
2018年の次期大統領選挙には、反プーチン派のカシヤノフ元首相や、民主派のヤブリンスキー氏が立候補するとみられているが、プーチン氏をしのぐほどの候補者は現れていない。だが、前回の2011年の下院選挙、2012年の大統領選挙前に見られたような大規模な反プーチン派デモが起き、プーチン政権が揺さぶられる可能性は大いにある。
プーチン大統領はこれまでも反体制派を抑え込む法律や政策を進めており、民主派などから「強権国家」の批判が強まっている。さらに、今回の国家親衛隊の創設で独裁的政治が一層強化される恐れがある。
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