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2016-04-24 00:00
(連載2)アベノミクス:農業改革と課題
島田 晴雄
千葉商科大学学長
(1)減反政策と並ぶ「農業改革」の第2の眼目は、(2)農協の改革である。農協は、地域の農家が集まって相互に支援したり、切磋琢磨する活動であり、そうした地域農協は世界各国に存在する。日本の特異性はそうした地域農協の上に巨大な全国組織が君臨していることだ。安倍政権の規制改革会議は2014年5月に、JA全中(全国農協中央会)の地域農協への指導権と監査権を廃止し、JA全農を株式会社化させる、地域農協の金融事業を農林中金に売却して地域の事業リスクを減らす、などの改革案を提示した。この改革案は当然、既得権を失う農協全国組織と関係勢力からの激しい抵抗にあったが、総理はじめ政権側の努力で相当程度改革は実現した。しかし、地域農協が自由かつ存分に活動できるためには、さらに多くの改革が必要だ。
「農業改革」の第3の眼目は、(3)農地法の改革である。現代日本農業の構造的欠陥の最たるものは、占領下に法定された「農地法」である。農地法により土地所有が多数の零細農家の小規模所有のまま残され、大規模農家が土地を集約することも、企業が農地を所有することも困難である。このため、農業の生産性の向上が進みにくい。零細農家の大部分が高齢化しているなかで、土地所有の改革が遅れている。このままでは、日本農業は遠からず衰滅するおそれさえある。
今回の農地法の改革では、企業が農地を利用するためには参加しなくてはならない「農業生産法人」への出資上限が25%から50%未満に引き上げられたこと、農業委員会の委員が農家の互選でなく市町村長の任命になったこと、また土地の集約などを仲介する農地バンクが創設されたこと、などが主な内容だ。企業が土地を所有して高生産性の農業をするためには、出資比率が50%以上であり、また、農地バンクの機能が大幅に強化される必要がある。
アベノミクス第二次成長戦略で手がけられた農業改革は、これまでの政権が手を入れることのできなかった戦後占領体制以来の岩盤規制に取り組んだことが高く評価されるが、改革の目的を実現するには、企業の土地所有自由化や高生産性で革新力のある農業者の育成など、多くの大きな改革作業が残されており、これこそは安倍政権がさらに全力をあげて取り組むべき課題だろう。(おわり)
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