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2016-04-26 00:00
(連載2)アベノミクス:労働改革
島田 晴雄
千葉商科大学学長
法的には解雇が極めて困難な日本では、解雇の金銭補償は、経済環境変化への企業の適応が遅れ、競争力が阻害される弊害が高まっており、安倍政権では法的に困難な解雇でも金銭補償で解決する方式を提案したが、解雇には絶対反対の労働組合、補償金を払いたくない中小企業主などの抵抗が強く、審議はまだ本格化していない。
派遣労働法は、民主党政権時代に、派遣労働は一部の特殊職種以外は原則禁止とされたが、自民党などが、派遣労働法の改正を提議し続けてきた。その趣旨は、派遣労働を利用する企業ばかりでなく、短時間就労などを望む勤労者や派遣をつうじて経験を積みたい勤労者にとっても使いやすい法制度を実現しようということである。法案の審議は民主党などの強い抵抗で2度廃案に追い込まれたが、2015年9月、ようやく衆議院で可決・成立した。企業は人を替えれば同じ仕事を派遣労働者に任せつづけられるようになる。これは一定の成果といえる。
外国人材の活用は、短期的には東日本大震災の被災地復興やオリンピック向けの建設需要、高齢化にともなう介護労働需要などの高まりに応じた建設労働者や福祉労働者の供給を増やす必要、長期的には人口減少社会や国際化の進行に応じた外国人材の量・質両面での需要拡大に対応する政策である。従来、外国人材の活用は、日本人にできない料理人など特殊職種以外は「研修実習制度」による活用に限られていた。それは一定の研修を経た人材はこれまで3年間は実習できるという制度だったが、2014年に実習は5年まで、帰国後再就労を含めると最長8年まで拡張された。さらに国際化の進展にともなう高技能人材を活用するため入国資格の範囲拡大が現在検討されている。
しかし世界各国が競って迎え入れようとしているいわゆる「高度人材」についての環境整備は着手もされておらず、そもそも日本は主要国では珍しく移民法も制定していないので、有能な外国人材にとっては日本の条件があまりにも不透明で、人材獲得競争には乗り出すこともできないのが現状だ。(おわり)
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