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2007-03-14 00:00
中国のアフリカ進出に遅れを取る日本
坂本正弘
日本戦略研究フォーラム副理事長
2月末、米国国際関係学会(以下ISA)第48回年次総会に出席した。約15年前に当時の佐藤英雄筑波大教授のパネルに参加したのが、初めだが、1998年からは「パックス・アメリカーナ第II期、アジアの台頭、日本の選択」というパネルを組み、司会、発表してきた。今回も日本側3人、米国人2人、台湾2人の国際パネルとなったが、約20人の聴衆と憲法9条、日本の核武装、日中関係などで、熱い質疑があった。
今や世界の国際関係学会となったISAは、今回も世界の学者専門家がシカゴに約7千人集まった。一日に4交代、一交代に50強のパネルが4日間あるので、年次総会のパネル数は50x4x4=800以上になる。その中で、米国の外交政策や中国の台頭が目玉だが、「中国とアフリカ」パネルは極めて興味のあるものだった。
中国の報告者は、中国のアフリカでの役割を強調し「(1)援助は米仏につぎ、PKOも千人を派遣し、大きな武器輸出、千の中国企業、多くの中国人が居住している。(2)その目的は、石油などの資源確保、台湾との国交遮断、南南協力などだが、(3)その特色は、西側と異なり人権、良い政府などの条件を求めない中国流の協力方式だとし、昨年の北京でのアフリカ首脳会議には50近いアフリカ諸国の首脳が集まった」と胸を張った。
中国のアフリカ援助は「アフリカの年」と言われた1960年代に遡る。その主目的は安保理常任理事国の地位獲得であった。国連総会でのアフリカ票を固め、中華民国に常任理事国の交代を迫り、70年代初めにその地位を獲得した。その後、中国のアフリカ援助はいったん下火になるが、1990年代から、石油や資源の確保もあり増えている。特に、中国は石油や資源を求めているが、アフリカの資源国はスーダン、ジンバブエ、アンゴラなど所謂無頼国家が多い。中国は内政不干渉を主張し、国際社会の人権などの非難をかわし、更に、安保理常任理事国の拒否権を使い、これらの国を擁護している。逆に、最近は、WHOを初め、多くの国際機関の選挙でアフリカ票により利益を得ている。
筆者は中国のやり方を中国病として紹介し(06年10月11日「百花斉放」)、国際的には中国の「新しい植民地主義」との非難も出ているが、毛沢東が60年代の困難の中で核を開発し、「アフリカの年」を利用した業績で、後世に実りをもたらした大戦略といえよう。
2005年、日本が国連常任理事国に立候補し、G4の戦略として総会の3分の2を狙い、特にアフリカ票を当てにしたが、ものの見事に破れた。この戦略は、上記のように中国が60年代行ったものであり、日本の常任理事国入りには中国が大代表団を組んで、アフリカに働きかけ、これを阻止したのである。アメリカの研究者が中国のアフリカ援助が2004年、5年に大幅に増えた理由が不明であるとしていたので、小生が中国の動向を指摘しておいた。
日本がアフリカ票をアテにしたのは、アフリカ諸国への自信からだったろうが、60年代以来の中国とアフリカの長い、緊密な関係を知った上での戦略だったのだろうか。大きな誤算ではなかったか。2008年の日本でのサミット時に、日本は3回目のアフリカ会議を開くようだが、中国代表も呼ぶのだろうか。中国とアフリカの長い付き合いを良く勘案の上で、ことを進めるべきである。
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