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2016-06-06 00:00
(連載2)参院選を前に、成長策を考える
角田 勝彦
団体役員、元大使
しかし、アベノミクスは一頓挫している。物価上昇目標2%は4度目の「後ズレ」表明である。原油安の影響や新興国経済の減速といった外的要因はあるが、頼みの金融政策への信頼性や日銀の本気度が疑われている。反面、アベノミクスが2012年末に始まって以降、金融緩和で円安が進み、輸入品を中心に食品価格が上がった。物価の上昇率を超えて賃金が上がったかを示す「実質賃金指数」は2015年まで4年連続で前年を下回った。つまり、エンゲル係数が上昇している。企業の収益が史上最高でも、国民は納得しない。
”一億総活躍”をいわばキャッチフレーズとする「新段階のアベノミクス」も提示された。2020年までにGDP600兆円を実現する、との目標を打ち出したのはもっともである。成長が無ければ分配は難しい。問題は、どうすれば消費(有効需要)を増やし、成長を実現できるかである。
個人消費の増加は、従来通りの需要喚起では困難になっている。消費増税再延期で、「(仁徳天皇の)民のかまど」を真似しても、駄目だろう。米国を中心とするIT産業(ソフトを含む)の隆盛で見るように、新たな需要を生み出す供給が必要である。中心は新技術である。 伊勢・志摩サミットを前に発表された産業競争力会議の報告書「日本再興戦略2016」には10分野にわたる官民戦略が盛られた。方向は妥当であるが、創意工夫の本来から中心は民であることが望ましい。企業の潤沢な資金をR&D投資に向けさせることが望ましい。
他方、「アベノミクスのエンジンを最大限ふかす」ための財政出動も求められ、消費増税再延期で社会保障の財源不足の可能性も生じている。アベノミクスには、法人税の引き下げや国家戦略特区など大企業を優遇する成長戦略が目立った。しばらく成長に力を注ごう。そのために、企業への増税とR&D投資への課税減免も考えるべきではないだろうか。(おわり)
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