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2007-03-16 00:00
日本もサマータイムを採用しよう
吉田康彦
大阪経済法科大学客員教授
省エネ効果を狙って、米国で例年より3週間も早く、3月11日から時計の針を1時間早めるサマータイムに入った。終わりも例年より1週間遅れの11月4日まで、通算で1カ月も長いサマータイムだ。欧州は通常通り、3月26日からサマータイムになる。英語ではデイライト・セービング・タイム(daylight saving time)という。この場合の「セーブ」(save)は「大切に使う」という意味だ。日本でもGHQ(連合軍総司令部)の指示で1948年から4年間採用したことがある。4年で止めてしまったのは、1時間早起きして仕事をしてもその分早く帰宅することにはならず、労働強化につながるという組合の反対が強かったためだ。
サマータイム採用は、日照時間の長い季節に少しでも長く日光に親しみ、余暇を楽しむためで、早寝早起きで健康増進にも役立つところから慣行となったが、近年は地球温暖化対策としての節電・省エネ効果が主目的になった。サマータイム実施期間延長法案を採択した米議会の試算では、2020年までに44億ドル相当の節約になり、大型発電所3基以上を建設せずに済み、1000万トン以上のCO2削減に貢献することになるという。「京都議定書」から離脱したブッシュ政権もようやく危機感を強め、議会の動きにいち早く賛成した。
日本でも省エネ目的のサマータイム再導入が官民のシンクタンクで提唱され、2005年には法案まで準備されたが、郵政民営化を最優先する小泉前首相の方針で廃案になってしまった。それに代わるのが北海道のサマータイム“特区”で、札幌商工会議所の提唱で、3年前から自主的に実施されている。北海道だけ、しかも6月から8月までの2カ月間でも省エネ効果は年間1000億円以上に上るという。やはり日本全土で実施すべきだと思う。
サマータイムは世界の80カ国で実施されており、先進国で採用していないのは日本だけだ。日本列島は緯度が低く、南に位置し、省エネ効果が小さいという主張があるが、それでも採用する価値はあると思う。全体として米国と同緯度だ。日本国内の反対論として、家庭の時計やデジタル機器類の表示を早めたり、遅くしたりが面倒だというのがあるが、米欧諸国の市民に抵抗感はない。慣れればさほど煩雑ではない。それよりも電力消費が減り、化石燃料を使わずに済む効果を重視すべきではないか。薄暮の夕刻に発生しやすい交通事故や犯罪が減るという推計もある。
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