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2016-06-28 00:00
BREXITに見る民主主義の問題点
四方 立夫
エコノミスト
遂にBREXIT(英のEU離脱)が現実のものとなった。EUは欧州人が過去の何百年に及ぶ戦争の歴史を乗り越え、新たに5億人の一大市場として世界経済に強い影響力を持つと同時に、欧州の安全保障にも大きく貢献するべく、何十年もかけて作り上げてきた知恵の結晶である。しかし、英の国民投票は、一日にしてそのようなEUからの英の離脱を決定してしまった。誠に嘆かわしい限りである。
本来、EUからの離脱の可否については、貿易、投資、金融をはじめとする経済の諸側面に加え、政治体制、法的枠組み、安全保障などの多岐に亘る極めて高度な専門知識を持った政治家(国会議員)が、十分な議論を尽くした上で慎重に決定すべきものであった。そのような専門性を持たない一般大衆の国民投票(直接民主主義)にいきなり最終決定を委ねたことは、それ自体が大きな問題であった。
米国でも、話題のドナルド・トランプ氏が共和党の大統領候補となることが確実となり、さらにアジアでも、今や人口1億を有する「大国」であり、地政学的要衝に位置するフィリピンでポピュリストのドゥテルテ氏が大統領に選出された。日本でも「首相公選制」が議論されたことがあったが、そうなれば、18才になったばかりの高校生も日本国際フォーラムにおられるお歴々の方々も同じ1票を持つことになり、芸能人やスポーツ選手などが、その時の知名度で政治信条や経験に関わらず、首相に選出される恐れがある。
チャーチルに「民主主義は最悪の政治だ。これまでに試みられてきた民主主義以外の全ての政治体制を除けば」との有名な言葉があるが、民主主義はその運用の仕方によっては「ヒットラーの選出」のような最悪の事態を招くことがあることは、歴史の教えるところである。我が国においても戦後の民主主義体制を再検討し、2院制の可否、国会議員の定数削減、国会審議のあり方などについて、広く、深い議論を行い、”Best & Brightest” の人物が政治家(国会議員)に選出されるようにすることが、緊急の重要課題である。
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