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2016-07-13 00:00
相次ぐテロにどう対応すべきか
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
先日はイスタンブールにある、トルコ最大のアタチュルク空港で、3人の男が銃を乱射して42人を殺害し、3人とも自爆するという痛ましい事件が発生した。トルコ政府は、犯人が自爆したという特徴から、ISないしはIS系の犯行と推定しているが、彼らからの犯行声明は未だ出されていない。さらに数日前、今度はバングラデシュの首都ダッカで、日本人7名を含む20名がテロの犠牲になってしまった。犠牲者に心からの哀悼の意を表するとともに、この卑劣な行為に断固立ち向かわなければならない。今回はIS、アルカイダともに犯行声明を発している。
イスラム過激派のテロ行為は、2001年の9・11テロを皮切りに、ロンドン、パリ、ブラッセル、そして今回はヨーロッパの玄関口であるイスタンブールに及ぶこととなり、ヨーロッパのどこに行ってもテロの恐怖が付いて回るという印象を与えてしまった。各国の連携や結束を分断しようとするテロリストたちの画策が、半ば実現しようとしていることは極めて残念だ。先般の英国のEUからの離脱決定は、トップダウンで様々な指令を押し付けてくる、EUの官僚的体質に嫌気を差したことに加え、東欧などからの移民によって自分たちの職場が奪われていることなどへの不満が原因と言われる。同時に「テロの拡大」に対する英国民の恐怖も、かなり影響しているのではないだろうか。
イスラム過激派がテロを起こす目的の一つは、欧米社会の秩序を崩壊させ、人々の間に疑心暗鬼を起こすことである。これにより彼らの支配力が高まり、様々な要求が実現しやすくなると見ているのであろう。彼らの目論見が徐々に現実のものになりつつあることを、大変懸念している。EUの超国家的枠組みは、あるいはそもそも欲張りであったのかも知れない。しかし、少なくともヨーロッパにおいて共通の価値観を持ち、緩やかな連合を目指すことは、国際秩序の安定と維持のためには不可欠の要素である。今後もあらゆる努力で守らなければならない。
私たちは、決して恐怖によって足元をすくわれるのではなく、テロを無くすために何が必要なのかを、粘り強く追求する姿勢がいま求められている。交通機関や公共の場所で求められるセキュリティ・チェックはより厳しくなるだろうが、多少の不便は許容しなければならないだろう。また恐怖のあまり、異なるものへの拒絶に走るのではなく、それらへの理解や寛容な心を持ち続けることも、必要だ。特に穏健で健全なイスラムの人々と、過激派を一緒くたに見なすような行為は、絶対に避けるべきである。
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