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2016-07-15 00:00
中国は国連を離脱せよ
松井 啓
ワールドウオッチャー、元大使
南シナ海における中国のフィリピン領海の侵犯は、国連海洋法条約(UNCLOS)違反であるとする常設仲裁裁判所(PCA)の判決が、7月12日に下りた。中国の主張する九段線による領海は何らの法的根拠もなく、無効であるというものである。もともと九段線は、中国の前政権である国民党が考えた11段線を、1949年10月に成立した中華人民共和国が引き継ぎ、修正したものである。
フィリピンはもちろんのこと、法と秩序を重んじる日本も、この判決を支持し、米国も「南シナ海における紛争の平和的解決という共通目的に大いに貢献するもの」として、これを支持すると同時に、「全ての当事国がそれぞれの責務を順守するよう」希望した。これに対し中国は「数千年前からこの九段線に囲まれた海域は中国の支配下にあり、南シナ海はこの中に含まれるものである」と主張し、「国連海洋法はその後にできたものであるから、中国はこれに従う義務はない」としている。中国は「常設仲裁裁判所の判決は、何らの権威もなく、紙くずに過ぎず、拘束力もないので、これに従うことはない」との強硬姿勢を取り、米国の声明には「強烈な不満と断固たる反対」を表明した。ベトナム、インド等他のアジア諸国も判決を支持したため、中国は孤立し、目下多数派工作とアセアン諸国の分断と個別交渉を図っている。
1945年に国連が設立された時点で最も重要な安全保障理事会の5常任理事国の1国になったのは、国民党政権であって、現在の中華人民共和国はやっと1971年10月になってから、国民党政権にとって代わって国連安保理の常任理事国になったのであり、常任理事国としての責任を果たすべきなのは当然である。もし現中国政権が国連海洋法条約を認めず、常設仲裁裁判所の判決を「紙くず」であるというのであれば、現中国政権には、安全保障理事会で常任理事国の座を占める資格はない。国際の平和と安全、法的秩序をどのように保証すべきなのか。国際社会はこの点をこそ追及すべきなのであり、戦後70年以上経た国連を現状に見合うように抜本的に改革することを真剣に検討すべきである。
中国があくまで自国の利益のみを追求し、国際法を無視するのであれば、かつて日本が国際連盟の理事会の常任理事国であったにもかかわらず、1933年3月の満州国に関する国際連盟調査団の報告(リットン報告書)の総会による承認(42対1)を不服として国際連盟を脱退したように、また、この6月に英国がEU(欧州連合)に束縛されることを不満として、国民投票で離脱(Brexit)を決定したように、中国もまた、国連を離脱(Chexit)することをお勧めする。
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