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2016-07-18 00:00
(連載2)東京都知事選挙と憲法改正
角田 勝彦
団体役員、元大使
安倍首相は、選挙遊説で憲法改正に触れるのを避けていたが、7月10日参院選開票のテレビ番組で「私が何を変えたいというのではなく、国会の憲法審査会で議論してほしい。どの条文をどう考えていくか、収斂されていく」と述べた。この意味である。菅官房長官も15日のテレビ番組で、自民党が2012年にまとめた憲法改正草案に関し、「固執してやるという気持ちは全くない。憲法審査会の中で議論し、深めて、方向性を一つにしていく」と述べた。7月15日、公明党の斉藤鉄夫幹事長代行は、党として要望する改憲項目の取りまとめに一年程度かかるとの考えを示した。衆参両院の憲法審査会は、秋の臨時国会から、憲法改正に向けた議論を再開する予定である。
さて、都民にとってもっと関心が深いのは経済社会問題だろう。最近の円高もある。企業収益に陰りが生じ、15年度の法人税収は6年ぶりに減少に転じた。安倍首相は月内をめどにまとめる経済対策を巡り、石原経済財務・再生相に「成長の投資は思い切って行う」と指示した。しかし、内閣府が月末公表する財政試算で2020年度の基礎的財政収支の赤字幅は5兆円規模になることが判った。黒字化どころではない。欧米系格付け大手フィッチ・レーティングスは13日、政府が消費増税を延期した一方で、2020年度に基礎的財政収支を黒字化するための具体的施策を公表していないと指摘し、日本国債の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げたと発表した。
経済面の追い風が吹かない中で、物価を押し上げようと異例の金融緩和を続けている日銀の国債大量購入は限界が近づいている。もちろん出口も問題である。安倍首相が、いかに参院選の勝利は国民の支持を意味すると力説しても、アベノミクスは限界を見せている。16日夜モンゴルから帰国した安倍首相も、内閣改造・自民党役員人事を含む今後の政権戦略に加え、デフレ脱却に向けた経済対策、とくに秋の臨時国会に提出する2016年度第2次補正予算案で、早めの夏休みものんびりはできないだろう。
政権戦略には憲法改正が含まれよう。「(憲法改正を)私の在任中に成し遂げたい」との安倍首相の思いが実現するためには、最短シナリオで、秋の臨時国会から衆参両院の憲法審査会で改憲項目の絞り込み作業を始め、来年1月召集の通常国会での発議にこぎ着ける必要があると言われる。他方、岡田民進党代表は、9月の代表選を勝ち抜き、次期衆院選(衆院議員は平成30年12月に任期満了を迎える)でも民共共闘で安倍政権下での改憲阻止を貫きたい所存のようである。安倍首相が憲法改正を性急に進めれば、混乱は避けられないだろう。安倍首相は、改憲実現のため無理をするよりも、当面は経済再生のための与野党の協力を模索したほうが、政権戦略としては賢明だろう。(おわり)
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