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2016-08-17 00:00
アメリカ大統領選挙と日本の防衛のあり方
赤峰 和彦
自営業
11月8日のアメリカの大統領選挙まで90日を切り、情勢はトランプ氏がやや優勢となっています。トランプ氏がアメリカ大統領に就任した場合、日本はアメリカを今まで通り頼りにすることが出来なくなります。戦後の日本は、アメリカの軍事的庇護の下、経済発展を遂げてきた一面があります。しかし、トランプ氏の政策では、米軍基地に対する応分の負担が求められるだけでなく、場合によっては米軍基地の縮小や撤退が進み、アジアにおける米軍の軍事的影響力が低下する可能性があります。中国が、尖閣や沖縄を手始めに、日本に対し軍事的圧力を加えている現在、日米安全保障条約の効力が薄れることは日本にとって非常に危険な状態であると言わざるを得ません。
トランプ氏がアメリカ大統領に就任することで、日本にはデメリットだけでなくメリットもあります。米軍の縮小や撤退は、現状維持の考え方だけで見ると大きな不安材料に思えますが、日本を変革するという視点で考えると逆に大きなメリットも見えてきます。まず、国民の間に「アメリカに頼らず、自分たちの国は自分たちで守ろう」という意識が形成されることです。これまで国防問題は特定の人たちが考えていましたが、当たり前と思っていた平和が脅かされることで、身近な問題として国防の意識が芽生えます。憲法9条によって日本が守られていたわけではないことに気づき、憲法改正の世論が強くなります。この動きは当然、日本の防衛力の強化の流れにも波及することになります。
トランプ氏が大統領になっても日米同盟は維持されることは間違いありませんが、米軍の縮小・撤退によりさまざまな変化が生じます。もっとも大きな変化は、日本の戦後が本当に終わるということです。米軍基地が日本から撤退することで、日本に対するアメリカの占領政策に終止符が打たれ、戦後の呪縛から解放されることになります。二点目は、米軍撤退により対等な日米関係を築くことが出来ます。これまでの日本は日米安保条約の庇護のもとで対米従属関係にありましたが、日本が自前の防衛力を強化することで、条約は対等な安全保障条約に変化します。三点目は米軍の撤退に伴い、沖縄の米軍基地が返還されたり、米軍の横田基地からの撤退も考えられます。そうなると、全国各地に130ある米軍基地(1024km²)を、そのまま自衛隊に転用することが可能になります。自衛隊の防衛力強化にとっては重要な防衛施設として利用できることになります。
明治維新や戦後日本の発展は、実はアメリカの軍事的な圧力によって成し遂げられたと言えます。アメリカの圧力で明治維新を迎え、アメリカとの対戦によって戦後の発展があり、今回もトランプ氏によるアメリカからの圧力によって日本の変革が迫られる可能性があります。明治維新から現在まで、歴史の目から見ても、確かに日本は大きな転換点に差しかかっていると思います。アメリカ大統領選挙を前に、日米関係、憲法改正、国防の各種論議を通して、日本国家のあり方を真剣に考えなければならないときがきたのではないでしょうか。
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