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2016-09-08 00:00
今後激しさを増す日露の北方領土交渉
飯島 一孝
ジャーナリスト
安倍晋三首相とプーチン大統領の9月2日の首脳会談で、プーチン大統領の12月訪日が正式に決まり、北方領土をめぐる本格交渉がいよいよ開始されることになった。大統領は今後の交渉について「(領土の)交換でも売買でもない。日露双方が損をしたと思わないような解決策を探ることが肝心だ」と述べているが、ロシア紙は今後の交渉を「領土をめぐる戦い」と表現している。任期内の解決を目指す安倍首相は、大統領と2人だけのサシの会談で1時間近く話し込んだことから「突っ込んだ議論ができた。手応えを強く感じ取る会談だった」と自画自賛しているものの、中身については一切言及していない。
サシの会談で何が話合われたかは不明だが、共同通信は消息筋の話として安倍首相が首脳会談で2島返還論を提起すると伝えている。同通信は日本政府が返還すべき島として歯舞、色丹島をあげ、その交換条件としてロシアとの経済協力を拡大する戦略を提案すると報道している。一方、ラブロフ露外相は記者会見で、ロシアが以前から提案している北方領土の共同開発について「日本は共同経済活動や人的交流にについて協議する用意があると感じた」と述べている。日本側はこれを否定したが、ロシア側は「交渉の重要な側面」として共同開発について今後、日本側と協議する意向を示している。
プーチン大統領はもともと日ソ共同宣言(1956年)に基づいて歯舞、色丹島返還による解決を模索しているとされる。安倍政権もこの方針に基づいて解決策を模索する考えとみられるが、ロシア側は極東・シベリア開発に日本側を巻き込む思惑があり、今後とも共同開発を提案してくる可能性が高い。
ロシア政府は外貨獲得源の原油価格が低下し、経済状況が悪化しているうえ、ウクライナ紛争を巡って西側の経済制裁を受けている。このため日本との経済協力に活路を見出そうとしているだけに、領土解決を優先する日本側と経済優先のロシア側との攻防は今後激しくなるだろう。ロシアのバザール(青空市場)的な交渉術に負けないためには、日本側のタフな対応が求められる。その一方、日本の世論も考慮して「落としどころ」を探らなければならない。まさに日本外交の正念場である。
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