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2016-09-20 00:00
辺野古「国全面勝訴」の意義
加藤 成一
元弁護士
9月16日福岡高裁那覇支部は、翁長沖縄県知事による辺野古埋立て承認の取消しを違法とする「国全面勝訴」の判決を下した。本件の争点は、(1)翁長知事による埋立て承認取消しの判断が法的に正当かどうか、(2)県の承認取消しを取り消すよう求めた国の是正指示に従わない知事の不作為が違法かどうか、などである。
判決は、普天間基地の危険性除去、ひいては沖縄の基地負担軽減には、辺野古移設が唯一の解決策であること、仲井真前知事による埋立て承認の判断には瑕疵がないこと、国防や外交に関する最終的権限は国に存すること、などの理由により、埋立て承認を取り消した翁長知事の判断及び不作為を違法とした。外交・安全保障の重要性を踏まえた、法理論的にも妥当な判断と言えよう。
翁長知事は、判決は沖縄の「民意」を無視したものと批判するが、「民意」がすべて裁判をコントロールするようなことになれば、裁判は「法による裁判」ではなく、「民意による裁判」になり、法的安定性を欠き危険であろう。あの「真珠湾攻撃」も圧倒的多数の「民意」が支持したのである。また、知事は、1999年の地方自治法改正で、国と県は対等になり、国の指示を拒否できると主張するが、2015年12月8日付「議論百出」への拙稿『沖縄・辺野古代執行訴訟の本質』で述べた通り、安全保障に関する権限は国の専権事項である(地方自治法第1条の2)。
今回の判決は、固有の領土であると称して、尖閣諸島への領海侵犯をくりかえす中国の脅威を考えると、今後の日本の安全保障にとって不可欠の判決である。
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