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2016-09-23 00:00
わが国はこれまで以上に障害者スポーツに力を注ぐべき
飯島 一孝
ジャーナリスト
パラリンピック・リオ大会は9月18日に閉会し、日本のメダル獲得数は金ゼロ、銀10、銅14の計24個となった。総数では前回のロンドン大会の16個を上回ったが、金メダル数では5個からゼロに減っており、参加国の24位から一気に64位に落ち込んだ格好だ。確かに中国のメダル獲得数239個(うち金は107)に比べると「なんで日本はこんなに少ないのだろう」と思う人も多いと思う。だが、批判を恐れずに言えば、日本が障害者スポーツをないがしろにしてきた結果の表れとは言えないだろうか。
パラリンピックの歴史をひもとけば、日本の金メダルの最高は2004年のアテネ大会での17個で、それ以降、減り続けている。その理由として、世界各国が障害者スポーツの育成に力を入れてきたのに対し、日本は有効な手を打ってこなかったためとみられている。具体的に何が遅れているのかというと、まずハード面で、障害者スポーツの練習場が極めて少ないことが挙げられる。たとえば、世界的に人気のあるパワーリフティングの練習場は全国に3箇所しかない。ウエイトリフティングと違って、仰向けに寝てバーベルを上げるので、その器具一式が必要となる。ところが、その器具が揃っている場所は全国に3箇所しかないのである。
また、車いすを使う団体競技がバレーボールやラグビーなどたくさんあるが、学校や自治体の体育館で車いすを使わせないところが少なくない。その理由として「床が傷つく」とか、「事故や怪我に対応できない」ことを上げるところが多い。こうした理由でスポーツのできる場所が制限されてしまうのである。さらに、国際競争力をつけるには海外の大会に数多く出場する必要があるが、こうした場合、選手個人の負担が重くのしかかっている。東京パラリンピックが決まってから国からの補助が増えたり、選手とアスリート雇用の契約をして経費を負担してくれる企業も増えている。それでも選手の個人負担は減っていないとの調査結果もある。その上、企業との契約は東京パラリンピックまで、と期限を切られている場合が少なくない。
政府も2014年から障害者スポーツの所管官庁を厚労省から文科省に移し、国立の施設を使った強化合宿が行われるようにするなど、便宜を図るようになってきている。だが、競技人口の裾野を広げなければ、本当に強化することにはつながらない。そのためには、スポーツの予算を増やすと共に、指導者の育成や若手の発掘に力を入れるなど、総合的な施策を急ぐ必要がある。私もこの半年間、障害者スポーツの現場を回ってみて、選手たちは厳しい条件の中で、こんなに頑張っているんだとつくづく感心した。それでも勝つこともあれば負けることもある。彼らの努力に報いるためにも、素直に拍手を送りたい。金メダルだけがメダルではないのだから。
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