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2007-04-04 00:00
温家宝首相来日を迎える修復軌道の日中関係
鍋嶋敬三
評論家
中国の温家宝首相が4月11日来日する。安倍晋三首相が就任直後の2006年10月に日本の首相として5年ぶりに北京を訪問して以来、4回目の日中首脳会談になる。小泉政権時代に靖国神社参拝問題で首脳の相互訪問が途絶えたことを考えると隔世の感がある。首相訪中では8年ぶりに共同文書を発表し、「戦略的互恵関係」を築き上げることで一致した。
中国が日本の戦後の平和国家としての歩みを文書で評価したのも初めてだ。首脳交流にも合意した。日中歴史共同研究の開始でも一致、6月には報告書が提出される。日本国際フォーラムが安倍政権発足に合わせて首相に提出した第28政策提言「変容するアジアの中での対中関係」の提言内容に沿ったものであり、日中関係が修復の軌道に乗りつつあることを示している。
温首相は安倍訪中を「氷を砕く旅」と評価し、訪日を「氷を溶かす旅にしたい」と関係改善の具体的成果を上げる期待を表明しいている。しかし、日中関係の底流にはなお危うさも潜んでいる。中国の対日政策の最大の関心事は歴史認識と台湾問題である。安倍首相は靖国神社に行くか行かないかについて言及しない「あいまい戦術」をとっている。中国側との会談でも「適切に対処したい」と述べるにとどまった。
安倍首相は温首相との会談で「日本は過去の歴史を謙虚に振り返り、平和国家の道を歩み続ける」と中国の理解を求めた。中国は日本が戦後60年間の平和的発展と対中援助を通じて中国の経済発展に貢献した歴史を国民に周知させるべきである。愛国教育に偏していては日中の相互理解はできない。
今年は日中国交回復35周年であるとともに日中戦争開始70周年の「敏感な年」(温首相)で中国の反日感情が燃え上がりやすい年でもある。対中国外交の専門家は中国には首脳会談後に小泉純一郎首相(当時)の参拝で裏切られたとの感情があり、日本政府に警戒心を捨て切っていないと指摘、近隣諸国に不安感を抱かせる間は歴史問題として存在し続けると警告している。
今年は大和朝廷が小野妹子を遣随使として初めて派遣してから1400年目に当たる。日本は中国から東洋思想や文化など多くを学んできた。一方の中国は、中国人学者が指摘するように数千年の文明を誇りに思う大国意識の半面、アヘン戦争以来100年の屈辱の歴史に由来する被害者意識が折り重なる独特の歴史観を形成してきた。歴史共同研究でも日中の歴史認識が一致することはあり得ないが、中国側の歴史観を日本側も踏まえておく必要があるだろう。それが次の35年の日中関係を築き上げる第一歩になるのではないか。
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