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2016-11-20 00:00
(連載1)群盲「トランプ象」を撫でる
角田 勝彦
団体役員、元大使
「群盲象を撫でる」と言う言葉がある。多くの盲人が象を撫でて、自分の手に触れた部分だけで象の全体像について「蛇のようだ」とか、「柱のようだ」とか、と間違った意見を言う意味であるが、トランプ選出大統領に関するさまざまな論評は、まさにそれである。トランプ自身が、トランプタワーで勝利の美酒を味わいつつ、人事を含めどんな象になるかを考えている段階なのだろうから。当て推量や知ったかぶりの論評は、クリントン勝利の選挙予想に続く、恥の上塗りになろう。せめて暗闇から牛が出る(新政権の布陣が決まる)のを待ってから、予想される政策を論じるべきだろう。
具眼の士と自負する安倍総理は「オバマ現大統領に失礼になるかもしれない」との慎重論を押し切って、「会談ではない」と言い訳しつつ、11月17日に、象を見に行った。政治家で同盟国の最高責任者なのだから、彼の立場からは正しい決断だった。同盟国への米軍経費の負担増要求、日本の核保有容認の示唆、環太平洋経済連携協定(TPP)への反対姿勢などのトランプ氏の従来公約(?)に関し、トランプ氏が大統領選出後も本気なのかどうか、を早く探りたいというのは、政権担当者として当然の欲求であろう。TPPについては、19日ペルーでのクチンスキー大統領との会談やアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席を控えるなど急ぐ理由もあった。20日リマで会見したロシアのプーチン大統領も興味津々だったろう。安倍総理が少しは大きく見えたかもしれない。
トランプ次期政権の出方をさぐろうというのは各国共通の願望であり、その動きは加速化している。トランプ氏の政権移行チームによると、17日会談までに、既に29カ国の首脳がトランプ氏やペンス次期副大統領と電話協議をした。他の首脳よりの会談申し込みは皆断ったようだ(19日河井克行首相補佐官談)。
安倍総理との話し合いは、トランプ氏の「初の首脳外交」として、内外メディアが速報するなど注目された。各国には警戒ややっかみも見られた。中国外務省の耿爽(こう・そう)・副報道局長は18日、「第三者の利益を損なってはならず、地域の安全上の懸念を尊重すべきだ」と述べ、日米同盟の今後を注視する考えを示した。(つづく)
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