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2016-11-21 00:00
(連載2)群盲「トランプ象」を撫でる
角田 勝彦
団体役員、元大使
日本側出席者は安倍総理のみ(通訳は別)で、トランプタワー内私邸で行われた話し合いは、予定の倍の1時間半に及び、トランプ氏は帰る安倍総理を1階出口まで見送った。厚遇と言えよう。トランプ氏の娘イバンカさんと夫のジャレッド・クシュナーさんが同席した。11月18日にトランプ氏より大統領補佐官(国家安全保障問題担当)への起用が発表されたフリン元国防情報局長も同席した。フリン氏は日米同盟重視派とされている。
安倍総理は、この話し合いで「具体的問題を話すより、個人的な信頼関係の構築を重視したい」としていた。話し合いの後、安倍総理が「同盟は信頼がなければ機能しない。次期大統領は信頼できる指導者だと確信した」と語り、トランプ氏もフェイスブックに「素晴らしい友人関係を始められた」と書き込んだことから見て、第一目的は達成されたようである。安倍総理は「私の基本的考え方、様々な課題について話をした」と述べるのみで、具体的な内容は一切公表されていないが、「大統領就任後早期の再会談実施で一致した」と発表されたことや、フリン氏が立ち会ったことから、アジア太平洋地域における日米同盟の重要性を確認したものと推察される。
ところで、米国共和党のシンボルは象である。トランプ候補は選挙で勝つため、すなわち支持層を拡大するため、手当たり次第公約を乱発した。民主党の公約を真似たものもある。しかし、オバマケア廃止を訴えたように、民主党の驢馬(ロバ)とは基本が違う。トランプは象の中の象である。彼は喧嘩した共和党の主流との和解も計っている。共和党もトランプを吸収するよう努めるだろう。トランプ路線への和解もあろう。
「米国第一主義」「アメリカを再び偉大にする」の威勢の良いスローガンなどに幻惑された低所得の白人労働者層などは、これから幻滅を味わうことになろう。 逆に自民党にとっては、驢馬のオバマよりつきあいやすい相手になるかもしれない。(おわり)
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