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2016-12-05 00:00
今回の年金制度改革について
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
今から9年前の国会は、「消えた年金」問題で当時の野党民主党が安倍政権を揺さぶり続け、その後の民主党政権誕生のきっかけを作った経緯がある。年金問題はそれだけに慎重な扱いが求められる。そうした中、今回の年金改革は野党が「年金カット法案」と位置付けて、反対キャンペーンを展開する一方、政府与党は「将来年金確保法案」と命名して、真っ向から対決している。既に衆議院は与党などの賛成で可決したが、現在は参議院で審議が始まったばかりである。
改革の内容は大きく2つある。一つは年金受給水準の「賃金スライド」を強化すること。もう一つは将来の年金確保を目指した「マクロ経済スライド」の導入である。「賃金スライド」の強化とは、物価に比べ賃金が名目でも実質でも低下する場合は、賃金の変化に合わせて年金額を改定するルールに変えることである。これまでは賃金が下がってもほとんど年金額を抑制しなかったが、そのため年金の原資が目減りしてきた。今後は将来世代の年金支給が確保されるように、現在の年金額を抑制する必要がある。
「マクロ経済スライド」とは、寿命の伸びや人口の減少を勘案して、年金水準の伸びを調整するという仕組みである。これも将来世代の年金を確保する効果を狙ったものだ。「賃金スライド」の強化も、「マクロ経済スライド」の導入も「将来年金確保法案」の名にふさわしい。
一方で低年金や低所得の方々に対しては、新たに「福祉的な給付」(最大年6万円)を導入する他、年金受給者に配慮して、前年度より年金額を下げる調整までは行わない措置(名目下限措置)を取ることとしている。
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