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2016-12-21 00:00
(連載1)安倍の太陽路線は北風路線に勝るか
角田 勝彦
団体役員、元大使
安倍・プーチンの日ロ首脳会談は、楽観論者が期待したような領土及び主権問題に関する進展は無かったが、北方四島での「特別な制度」に基づく共同経済活動の実現に向け交渉を開始することなどで合意した。政府間で12件、民間レベルで60件を超える協力案件(日本側の投融資は総額3000億円規模)の合意もあった。
これは、2016年5月のロシア・ソチでの安倍・プーチン首脳会談で安倍総理が、領土問題でロシアを叩く従来の北風政策では進展はないと認識し、太陽で暖める新しいアプローチ、即ち「8項目の協力計画」を提案して以来の交渉の成果である。元島民の自由墓参・故郷訪問も迅速に検討されることになった。安倍総理は来年9月6~7日に極東ウラジオストクで行われる「東方経済フォーラム」に参加する前にも「早期に」訪ロして、さらにこの路線を追求しようとしている。
日ロ協力案件は、ウクライナを巡る対ロ制裁との兼ね合いがあるが、本質的に商業ベースであり、我が国の利益にもなるものであろう。現在のところ、気がかりな米国の反応は穏やかである。米国務省のカービー報道官は12月15日の記者会見で、安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領の会談について「判断を下す立場にない」と論評を避けた。これに先立ち、アーネスト米大統領報道官は14日の記者会見で「日本が主要7カ国(G7)と固く結びついていることを疑っていない」と述べ、対ロ制裁などでの連携は維持されているとの考えを表明した。安倍総理の明年1月末訪米とトランプ新大統領との会談も予定されている。
共同経済活動は「日ロ両国の平和条約問題に関する立場を害さない」という共通認識のもとに進められる。この特別な制度は日ロ両国の間にのみ創設されるとされ、日本側は政府や民間企業が出資しての水産加工品や養殖、観光などでの合弁事業を想定している。安倍総理は20日の講演で「実現すれば日本人が島を何度も訪問し、住むことになる」と述べた。実現には従来の経験やロシア側が何度も「ロシア法の下で」と言っていることから、難航が予想されるが、不毛の対立が続くよりは増しであろう。やらないうちから危険視し、排除する必要はあるまい。2島でなく4島が対象になっていることにも留意すべきだろう。(つづく)
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