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2016-12-22 00:00
(連載2)安倍の太陽路線は北風路線に勝るか
角田 勝彦
団体役員、元大使
さて日本国際フォーラムの第8回拡大政策委員会は、本年11月14日に「日ロ関係はどうあるべきか」について委員間で自由討論し、その一部始終を公開している。有識者によるきわめて興味深い檄論が、速記録で掲載されている。このような地道な検討こそ、日ロ首脳会談にふさわしい。
また日ロ交渉は、米中関係にも影響を及ぼすことを忘れてはならない。5月からの今次交渉中にプーチンは急に態度を硬化させたと言われるが、その原因は11月上旬に訪ロした谷内正太郎・国家安全保障局長が、ロシア側から「将来日本に歯舞、色丹を引き渡した場合、米軍は基地を置くのか」と聞かれて、「可能性はある」と答え、11月19日にペルーのリマで行われた安倍総理との首脳会談でも、この発言への疑念が払拭されなかったことにあるとされる。12月16日の共同記者会見においてプーチンは「地域における全ての国々を尊重しなければならない。ロシアにはウラジオストクとその少し北方に艦隊基地がある。私が念頭に置いているのは、日本の日米安保条約上の義務だ」と述べている。中国も論評で「安倍首相はロシアを抱き込み、中国に対する包囲網を強化したい考えだが、中ロ関係の土台を揺るがすのは難しく、もくろみは期待外れとなる」と反発している。
日ロ首脳会談の成果に対しては、野党に加え与党からも批判がある。自民党の二階俊博幹事長は「物足りない」と不満を表明した。しかし世論調査を見ると国民は、冷静である。朝日新聞世論調査〈12月17、18日実施〉では、日ロ領土交渉「進まず」が70%にかかわらず、今回の会談を「評価する」が45%、「評価しない」が41%である。毎日新聞世論調査〈12月17・18日実施〉では、北方領土問題が解決する前に北方領土で共同経済活動を行うことへは、「賛成」との回答が59%で、「反対」の25%を大きく上回った。今後の北方領土問題の進展に「期待する」は60%、「期待しない」は29%だった。
安倍総理も今次交渉でロシアの堅さを十分認識しただろう。10月19日付本欄への拙稿「日ロ首脳会談は、功を急ぐな」で述べたとおり、「自分の任期中」などと焦るのは禁物である。(おわり)
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