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2017-01-10 00:00
トランプ政権には強い警戒心をもって臨むべし
四方 立夫
エコノミスト
「トランプ相場」で株が高騰し、円安が進行している。その中で、一部にトランプ政権に対する楽観論が広がっていることに懸念を覚える。特に円が1か月で15円も円安に振れることは異常事態であり、経済の実態を反映したものではない。
「トランプは長年ビジネスに携わってきたことから、経済的に合理的な判断をするであろう」との見方もあるが、同氏が行ってきた不動産業はビジネスの世界でも投機性の高いものであり、且つ同氏は常に「一人勝ち」を目指し、それをもって良しとしてきた。現在、一流企業の間では常に\\\\\\\"win-win\\\\\\\"の関係を目指し、且つCSR(Corporate Social Responsibility)が厳しく求められており、トランプ流のビジネス手法は、現代の基準からすれば異質なものと言わざるを得ない。同氏は早くもTOYOTAのメキシコへの投資を公然と批判しているが、一国の元首になろうとする人物が他国の民間企業の別の国への投資に対し圧力をかけるということは、自由主義経済の原則とは相容れないものである。
今後、懸念される事案の一つに、米中関係の動向がある。同氏は「中国からの輸入品に45%の関税をかける」、「中国を為替操作国に認定する」などと強硬な発言を繰り返しているが、いつ何時この姿勢を突然転換するかは、わからない。米中関係改善を図り、米ロ関係改善と共に米中ロによる共同世界支配に転じるかもしれない。そうなれば、日本は蚊帳の外に置かれるリスク無しとしない。大多数の米国企業は1980年代より巨大市場である中国に熱い視線を送り続けており、米中関係が既に悪化していた2015年秋の習近平訪米に際し、普段スーツを着ることのないIT企業幹部がスーツ姿で勢揃いして、歓迎したことはその象徴である。
トランプは時々キッシンジャーのアドバイスを受けているとのことであるが、キッシンジャーは日本の頭越に米中関係を改善させた人物である。今日においても、その近著\\\\\\\"World Order\\\\\\\"をみれば、その中で、中国を「米国のパートナー」と見做し、他方で、日本に対しては警戒心を滲ませている。現時点でトランプ政権に関し断言できることは、\\\\\\\"Unpredictability\\\\\\\"だけであろう。今後の日米関係は従来の延長線上での常識に則って判断することはできない。予断を持たずに、強い警戒心をもって臨むと共に、日米同盟並びに日米経済関係がトランプ及び米国民にとって有益であることを、はっきりと目に見える形でアピールし続けることが肝要である。
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