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2017-01-18 00:00
アジアにおける米中の政策変更の惧れと日本の役割
四方 立夫
エコノミスト
1月7日付のシンガポールの有力紙Straits Times に「シンガポールは米国から距離をとれ」(”Time for Singapore to move away from Uncle Sam’s embrace?”)と題する論文が掲載された。著者はオーストラリア人とのことであるが、政府の強い影響下にある同新聞にかかる論文が掲載されたということは、政府自身がかかる政策変更を検討していることを示唆するものである(http://www.straitstimes.com/opinion/spore-china-ties-at-a-crossroads)。
シンガポールの現状は、米国との実質的な「同盟国」であるが、昨今の中国の進出、並びにトランプ現象に見られる米国の内向き指向により、同国が中国寄りに舵を切る可能性を論じたものである。現在、シンガポール軍の歩兵輸送船が台湾での軍事訓練の帰路、香港に留め置かれていることも、同国に対する中国の圧力を物語るものであり、今後の外交方針に影を落としている。言うまでもなく、シンガポールはマラッカ海峡を望む戦略の要衝であり、同国が中国に接近することになれば、アジアにおける航行の自由に大きな影響があると共に、同地域の平和と安全に対する重大な脅威となる。
一方、中国は、習近平体制が盤石であることをアピールしているが、同氏の政敵に対する徹底した「反腐敗運動」並びに人民解放軍の中核である陸軍30万人削減への反発や退役軍人による国防省前での2回のデモ、「2017年問題」と言われる中国から海外への資金の流出、などを見るに危うさを感じざるをえない。又、トランプ次期大統領は就任前の支持率で歴代最低を記録しており、その言動の不安定さ及び指名閣僚の顔ぶれからすると、同じく危うさを感じざるをえない。
かかる状況下、トランプ就任式前の安倍首相によるアジア歴訪は誠に正鵠を得たものである。アジアにおける自由主義体制の要として、我が国がその”Smart Power”を強化し「積極的平和外交」を推進することにより、米国のアジアにおけるプレゼンスを維持し、中国と米国両方の動きに不安を覚えるアジア諸国と密接に協力して自由貿易を守ると共に、地域の平和と安定に寄与することが喫緊の課題である。
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