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2007-04-16 00:00
8回目の訪朝で確認したこと
吉田康彦
大阪経済法科大学客員教授
私は「北朝鮮寄り」の学者として定評があるようだが、日本を愛する日本人であり、立場は「日本寄り」である。その私が、8名の学者・文化人・ジャーナリスト・大学生を率いて、1週間、北朝鮮を訪問してきた。民間交流として、平壌外国語大学日本語学科に150冊の日本語図書を寄贈するのが主目的だったが、南北合弁事業が進む開城工業団地や近郊の農村も視察してきた。以下、結論を列挙する。
(1)中国の援助と南北交流で経済は安定し、都市に関するかぎり市場にはモノが溢れていた。日本の単独経済制裁はほとんど効果なく、高級ホテルや外国人向けデパートには日本製電気製品や食料品が所狭しと並んでいた。すべて中国経由で入ってくるという。中朝合弁事業で小型水力発電所が増設され、1週間の滞在中、停電は一切なかった。大同江の中州の45階建ての「羊角島ホテル」は中国人ビジネスマンと観光客で1000室がほぼ満室状態だった。
(2)非武装地帯に近い、北側の開城工業団地では、北朝鮮の労働者2500人が韓国人技術者の指導の下で作業に従事していた。韓国の進出企業は今年中に300社に達するという。「現代峨山グループ」の開城駐在事務所長は、2012年までに開城を北東アジアのシリコンバレーにしたいと自信と抱負を語っていた。ソウルから開城に通勤できる自動車専用道路が通じている。
(3)われわれが接したエリート層は「昨年10月の核実験成功で北朝鮮は核保有国となり、ブッシュ政権は譲歩を余儀なくされた。北朝鮮の目標が朝鮮半島非核化であることに変わりないが、あと2年足らずのブッシュ在任中に米国は譲歩を重ねて米朝国交正常化とテロ支援国家の認定解除に応じざるを得ず、在韓米軍の撤退にも応じざるを得ないだろう」と豪語していた。さて、どうする日本?
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