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2017-03-07 00:00
“森友学園疑惑”は「安倍勝利」が確定
杉浦 正章
政治評論家
要するに、問題の核心は、朝日を中心とするマスコミがあたかも大疑獄が隠れているかのように報道してしまったということにある。とりわけマスコミの多くが、「大きな政治の力が作用した」とあたかも首相・安倍晋三が背後にいて操作しているかのような邪推をしたことにある。昭恵夫人が森友学園の名誉校長に祭り上げられていた事となんとか関連付けようとしたのだ。しかし、安倍がカンカンになって3月6日も再度「私も妻も不当な働きかけ、売却あるいは認可には一切関わっていない。関わっていれば職を辞すると明確に申し上げている通りだ」と“究極の打ち消し”発言したことで、多くのメディアが「待てよ」と踏みとどまらざるを得なくなった。そして安倍の答弁が「安倍の勝ち」を判定するものとなったのだ。そもそも大手新聞社は、1970年代から80年代にかけて政治部が中心となって東京本社用の国有地払い下げに必死となって政治家に働きかけ、格安で入手したのを棚上げにしていいのか。やればやるほどブーメランとして返ってくる事案である。
複雑にみえるが、数字は3つだけ覚えればよい。焦点は9億5600万円の国有地を1億3400万円で払い下げたことが妥当であったのかということだ。 国が埋設物撤去費用を8億1974万円減額した結果である。これだけ安く減額するには大きな政治的な力が働く、という「推理」は誰でもできる。しかし共産・民主両党のように証拠のない推理を邪推という。自民党の西田昌司が6日指摘したように、この問題は「その思い込みから始まった」のだ。従って西田が「はっきり言って安倍首相はえん罪である。疑惑を言うマスコミは事実をしっかり報道していない。トランプさんに言わせれば、フェークニュースだ」と断定した。うごめいた“雑魚”は別として、首相の犯罪性はゼロとなった。満を持した民主党の福山哲郎の質問は宙に浮き、蓮舫の質問にいたっては事件への無知を露呈させ、安倍をあきれさせた。新聞と軽佻浮薄な思い込み報道を繰り返した民放テレビは反省すべきだ。朝日は執拗に7日の社説でもまだ昭恵夫人を“追及”しているが、首相夫人として外交内政で国のためにめざましくボランティア活動をしている希有な存在であり、ケチを付けてはいけない。
「安倍えん罪」の根拠は、国会における事務当局の答弁がようやく分かりやすくなったことにもある。おそらく質問者西田との事前の調整があったのだろうが、まず航空局長佐藤善信が積算の根拠を詳細に明らかにした。「公共事業の積算根拠に基づいて廃材などの量に単価をかけて算定した。処理費用は複数の事業者の費用を比較した」のだという。そしてなぜ国が撤去費用を見積もったのかという核心部分について、理財局長佐川宣寿が「小学校の建設を滞りなく進めるためだ」と発言、4月の開校に間に合わせるためだったことを明らかにした。要するに、事務当局が売り急いだのは物件が紛れもなく“わけあり”であるからで、隣接地の売却価格が高かったのはゴミ処分を買い主に委ねたからにほかならない。
しかし、国の財産を、得体の知れない“教育者”に売ってよいものだろうかという疑問は残る。あまりにひどい右より偏向教育をしていたのだ。判断力のない園児に「安倍首相頑張れ」はともかく「安保法案の国会通過よかったです」と言わせることはないだろう。教育勅語の暗唱もやっていた。まるで昭和8年から使用された小学国語読本の「ススメ、ススメ、ヘイタイススメ」のようである。明らかに教育基本法第14条2の、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」に抵触する。大阪の親御さんたちは寛容なのだろうか。東京だったら一発で園長の首が飛ぶ。このような教育を小学校でもやろうとしているかと思うと、さすがの筆者も慄然とする。籠池に教育者としての資質があるのか疑問だ。籠池は、4月開校を目指す小学校の児童確保策として、愛知県蒲郡市の私立「海陽中等教育学校」と推薦入学枠の提供で合意したとする文書を大阪府教育庁に提示したが、同校側が合意や交渉の事実を否定していることが分かった。でたらめのねつ造癖がここでも明確に分かる。このところ冴えた発言をする大阪府知事松井一郎が、「学校としての体質と教育者としての体質に疑問が付く。私学審の意見を聞いて教育庁の判断になるが、今月中の認可は難しい。物事を確認するだけで時間がかかる。物理的に難しい」と述べているのは当然だ。今月中どころか、篭池の申請である限り、永遠に認可先送りが正しい。4月開校は無理と言うべきだ。
一方、冒頭述べたマスコミの国有地入手だが、調べたら日本維新の会丸山穂高が、2月24日の衆院財務金融委員会で国有地格安売却を取り上げた中で、「朝日新聞と読売新聞も同じことをやっている」と追及していた。しかし、新聞がどこも1行も報じなかったのは言うまでもない。筆者も政治記者として当時の働きかけ状況を感じていたが、全ての全国紙が国有地払い下げを受けている。朝日新聞は今の築地の一等地の新社屋を作るにあたって、1975年3.3平米(1坪)あたり200万円は下らないと言われている土地を、56万円の安さで払い下げを受けた。読売新聞も、大手町の600万円の土地を、83万円で払い下げを受けている。竹橋の毎日新聞も同様。産経、日経は大手町、共同通信・フジテレビ関係会社は汐留の払い下げを受けている。その他地方主要都市の国有地も新聞社が払い下げを受けている。こうした新聞は、まず朝日の社説が森友学園の払い下げについて「問われているのは、国民の共有財産である国有地が格安で売却されたのではないかという重大な疑惑だ」と書いている。これはそのままブーメラン返しで「朝日に問われているのは・・・」と置き換えられる。また読売は「政治家や家族には、その肩書を利用しようと、様々な業者が接近する。便宜供与を期待するケースもあるだろう。疑惑を招かない細心の注意が必要だ」と書いたが、これも「報道機関は疑惑を招かない細心の注意が必要だ」と置き換えられる。なにも新聞に追及の手を緩めよと言っているわけではない。記者が権力を正しい目で監視することは重要だが、自らのよって立つ基盤を考えたら、安倍の“えん罪”を追及する前に“先祖”のやってきたことをよく勉強すべきだと言いたい。一方で事件のポイントは昭恵夫人が、籠池の接近を”教育者”という仮面と”保守”というだまし絵についついつられてか、許してしまったという脇の甘さにあることも確かだ。
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