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2017-04-11 00:00
考えうる最悪の事態に備えよ
四方 立夫
エコノミスト
トランプがアサド政権の空軍基地にミサイル攻撃を実施した。今後米国はアサド政権にどう対峙していくのか?シリア問題にはどう関与していくのか?ロシアとのIS撲滅共同作戦はどうするのか?以上の様な根本的な問題に対する長期戦略無しに唐突な軍事行動に訴え、その後トランプは「シリア政府軍が使用した化学兵器による乳幼児を含む多数の犠牲者が出たことで考えを変えた。Flexibilityを誇りに思う」との声明を出したが、かかるトランプ政権の軍事外交戦略に危うさを覚える。トランプは自ら”unpredictability”をもって良しとしてきたが、未だに主要省庁の政治任用の高官は著しく不足し、国務省の予算が大幅に削減されようとしている。そんな中で、十分な戦略立案を行わずにトランプ自身の”instinct”によって突然「豹変」し、直ちに実行に移す姿勢は、7,000発以上の核弾頭の発射権限を有する「超大国」の大統領として同盟国に対しても不安を抱かせるものである。
今回のミサイル攻撃は対中国及び対北朝鮮に対し”demonstration”としての一定の効果はあったかもしれないが、たとえ中国が北朝鮮に対して実効性のある踏み込んだ制裁を課したとしても、「シリアが攻撃されたのはイラクやリビアと同様に核兵器を持っていなかったからだ」との確信を強めた金正恩はロシアに接近し、益々ICBMの開発を加速させることが懸念される。
米中首脳会談は表面的には「両首脳の信頼関係を構築した」とのことであるが、共同声明や共同記者会見もなされず、内容としては多くの課題を残すものとなった。特に、北朝鮮は4月には記念日が目白押しであり、韓国では5月に政権交代により北朝鮮や中国に融和的な政権が誕生し、THAAD配備撤回、GSOMIA破棄、など東アジアのみならず米国にも甚大な影響を及ぼす政策転換がなされる怖れがある。そんな中で、北朝鮮がICBM発射実験などを実施すれば、それが米国による先制攻撃の引き金となる可能性がある。その場合、北朝鮮としては在日米軍基地に対し報復攻撃を仕掛ける可能性が大であり、周辺住民に被害がもたらされる怖れがある。さらに、東京をはじめとした主要都市に対するサイバー攻撃も同時に実行される可能性が高く、そうなれば、多くの一般市民の生活にも支障をきたす怖れがある。
政府としてはSM3及びPAC3による迎撃態勢を整えるものの、迎撃の確立は100%ではなく、我が国が被弾するリスクも無しとしない。国はもとより地方自治体に至るまで広範に亘り被害を最小限に食い止める対策を講じなければならない。更に、民間企業に対するサイバー攻撃に対しては、民間企業自身が防御態勢を構築することが必須であり、一般市民においても地震に対して備えている以上に、各自備えをすることが必要である。即ち「自分の身は自分で守る」との覚悟を固め、その準備をすることが肝要である。いずれにせよ政官民あげて70年以上に亘り平和を甘受してきた全日本国民に対し「もはや平時ではない」との危機意識を持って考えうる最悪の事態に備えるよう喚起することが喫緊の課題である。
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