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2017-04-17 00:00
我が国は「技術立国」の長期戦略を持て
四方 立夫
エコノミスト
トランプが今度は習近平を賞賛し始めた。中国4,000年の歴史を背景にした習近平にとって、ずぶの素人であるトランプを籠絡することはいとも容易いことであろう。習近平は秋の党大会で自身の権力基盤を固めるまでは何としても米国を宥めるべく、美辞麗句を並べ続けるものと推察する。米中の間で“Deal”が成立し、例えば北朝鮮にICBMの開発は「断念」させるが、短距離~中距離ミサイルに関しては「黙認」することになれば、我が国にとっては最悪のシナリオである。北朝鮮は「極秘裏」にICBMの開発を続けると共に、既存のミサイルの精度を上げ、核開発を推進することは必至であり、将来的には米国本土もその標的となり、もはや手の打ちようがなくなる。
トランプは就任当初から日本の自動車企業のメキシコに対する投資を批判してきたが、東芝の子会社であるウェスティングハウスが米連邦破産法11条の適用を申請した件については、政権「高官」が「安保への影響が懸念される可能性」を示唆したとの報道もある。同法は、航空会社の多くが申請し、再生を果たしていることからも、企業の再生を目指した「民事」であるにも関わらず現段階で早くも介入が報じられることは、自由主義経済の原理原則に反するものである。かかるトランプ政権の一連の動きを見るに、安倍首相との「蜜月」も安泰とは言い難い。特に、尖閣有事に際しては、たとえヒラリーが大統領であったとしても、中国を最重要市場と見做し、中国が米国経済にとって最重要パートナーであることから、イラク及びアフガニスタンに於ける泥沼の戦争で厭戦気分の米国民を説得して、無名の小島の防衛のために米国の若者を戦場に送るかは疑問無しとしない。
いずれにせよ今後とも予見しうる限りの未来において、米国は日本にとって最重要同盟国であり続けることに変わりはないと思われるも、相対的に米国の力の低下が懸念される中で、我が国としてはより一層自国のスマートパワーの向上に励まなければならない。日本学術会議は、「軍事目的の科学研究を行わないとするこれまでの声明を継承する」とのことであるが、IT、ロボット、炭素繊維など軍事用と民生用の区別がつきにくい重要分野が拡大していく中で、我が国としては政官民一体となって日本独自の技術を開発することが喫緊の課題である。特に、我が国はサイバー及び宇宙における防衛技術に於いて遅れをとっていると言われており、この分野での国を挙げての推進は緊急を要する。
ノーベル賞受賞者である大隅教授は「このままでは日本から新たなノーベル賞受賞者はいなくなる」と懸念を表明し、基礎研究の重要性を訴えているが、我が国は長年に亘り「ポスドク問題」を抱え、有能な若者が研究者への道を断念せざるをえないケースが多々ある。幼少の頃から科学に親しませ、優秀な理系人材を育てて、我が国を再び「技術立国」の国とすることは、中長期的に見て我が国の存立基盤である。合わせ、可及的速やかに憲法改正を行い、21世紀の実態に合わせ交戦権並びに戦力の保持を明記し、我が国が他の先進諸国と共に積極的な平和貢献をできるようにすることが重要である。それでこそ初めて我が国は「真の独立国」となり、かかる国の基本理念と存立基盤の上に立ってこそ、米国と名実共に「対等な同盟関係」を確立することができるのである。
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