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2007-04-23 00:00
民主党に欠けている政権交代の用意
大藏雄之助
評論家
民主主義政体は一党独裁を許さないが、真に民主的であるためには政権交代がなくてはならない。特定政党の支配が長く続くと政権が腐敗するおそれがあるし、さらに悪いことは、その腐敗が隠蔽されかねないことである。民主党は野党勢力を糾合して参議院で過半数を獲得し、それを弾みにして次の総選挙で衆議院の与野党逆転を目指している。しかし、小沢党首の動きを見ていると、政治生命を賭けているとは言いながら、本当に政権が取れるのだろうかと疑念を持たざるを得ない。
世論調査でも明らかなとおり、依然として自民党支持者が圧倒的に多い。民主党が政権政党になるためには、この自民党支持者の信任を得なければならない。それには自民党と全面対決の姿勢をとるのではなく、いろいろなしがらみや行きがかり上、是正しかねていることを実現する具体的な方策を提示することであろう。
私はかつてイギリスで労働党が政権を獲得する過程を見たが、労働党は一時的に基本理念を棚上げして、保守党の政策に限りなく近づいて、選挙民を安心させて投票させた。当時の日本社会党のように政権担当の可能性が皆無の状態では何でも反対でいくほかはないだろうが、労働党は何としてもまず選挙に勝つ。それは、(1)どんなに修正主義的であろうと保守党政権よりはよい政治ができる。(2)立派な政治ができることを証明することによって労働党に対する信頼が高まる。(3)党員は政府の役職につくことによって経験を積む。(4)役職手当・官舎等によって議員の生活は安定し、党財政もうるおう。(5)膨大な官僚組織をシンクタンクとして利用することができる。
野党は体を張って物理的に審議を阻止することはしない。そんなことをすれば、自分たちが政権を取ったときに同じ妨害をされる。選挙に負けた以上、野党は与党の施策の誤りを指摘し、やがてその正しさを実証するのだ。民主党にはこのような潔さが欠けているのではないか。
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