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2007-04-30 00:00
中印両国の扱いの大差―これでよいのかな?
岡本幸治
大阪国際大学名誉教授
先日中国から温家宝首相が来日した。メディアは連日その後を追いかけ、特集番組を組み、国会演説からジョギングその他のパーフォーマンスに至るまで大きく報道した。昨年暮れにインドのマンモハン・シン首相が訪日した際には同じように国会演説も行われたが、我が国のテレビや新聞でそれをまともに報じたものも、関連した記事もなかった。新聞は大阪本社版しか見ていないから東京本社版では違っていたのかもしれないが、国際関連記事は東京からの頂き物をそのまま載せるのが悲しいかな地方版の通例だから、インド首相関連は無視されたと判断して間違いではないだろう。
インドは冷戦期における政治的立場や核政策の相違、希薄な経済関係によって、長い間日本では軽視されてきた。ところが、「21世紀の20年代までにアジアは中国圏とインド圏に分かれる」と予測する米国官民のさまざまな報告書やBRICs報告の刺激もあって、わが政府のインド軽視政策もこの二、三年来ようやく変化を見せ始めている(私はインド重視への転換については10年遅れをとったと見ている)。
近頃は本屋でも珍しくインド関係の本が平積みになっていることがあるが、それは専ら経済関連であり、全般的にメディアのインド報道は、以前に比べれば改善されたとは言うものの、量的には中国報道の百分の一あるかどうかというレベルである。早い話が、NHK衛星放送の世界ニュースで毎朝紹介している現地テレビ報道にインドが定番として扱われることは皆無である。我が国の公共放送官僚にとっては、インドは未だに韓国・スペイン・カタール以下の存在であり、常時報道すべき「世界」の中には入っていないのだ。
こういう体質が訪日した中印両首脳の扱いにおいても現れ、一方は関西における見え見えのパーフォーマンスまでも克明な報道の対象となり、他方は国会における公式演説の内容すらも無視されるという相違となったと思われる。外務省ホームページのアジア関連記事(最新版が2月付け。情報更新ぐらい毎月できないのか!)に「インドの重要性」という項目があるが、とっくに11億を超えているインドについて「10億人の人口を擁する世界最大の民主主義国家であり」と、鮮度の悪い平板な説明しかしていない。メディアが報じていない首相演説の内容を知りたいと思っても、外務省記事からは知ることができないのが現状である。こんな扱いは、正常なのかな?
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