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2017-08-01 00:00
あまりにひどいTVワイドショーの印象操作
杉浦 正章
政治評論家
端的に言って、内閣支持率を30%台にまで落とした民放ワイドショーに如何に対応するかが、「安倍長期政権」のカギをにぎるとみなければなるまい。防衛大臣の言動をめぐる安倍内閣袋だたきの構図はいったん小康状態となったが、TBSやテレビ朝日のワイドショーは今後、まるで「水に落ちた犬は叩け」 とばかりに、かさにかかって首相・安倍晋三叩きの手をゆるめる気配はないだろう。朝日、毎日などの論調の“請け売り”といってよいほど新聞記事の強い影響下にあるコメンテーターらは、両紙が「反安倍」を基調とし続ける限り、論拠に事欠かない構図だ。これにどう対処すべきかだが、この新聞=民放“連携の構造”は一筋縄では打開できない。もちろん内閣改造人事くらいで局面突破できる問題ではない。最終的には、ケースごとに訴訟を起こすか、放送法を適用して偏向報道の局の放送免許を停止する、くらいの対応が必要になるかも知れない。政権側にそれくらいの腹がないと収まらないだろう。
ワイドショーの影響をいちばん受けやすいのは退職後の高齢者層だろう。読売の調査を見てもしょっちゅう家に居てワイドショーを見ている層に安倍アレルギーが強い。読売の内閣支持率を年代別にみると支持は20代65%、30代60%、40代50%、50代45%、60代35%、70代45%と高齢化するほど低下している。これは人口構造で大きな割合を占める高齢者が、朝から晩まで安倍たたきに精を出すワイドショーの影響下にあることを物語る。年寄りなら分別が付きそうなものだが、政治についての分別が付く判断力を持っている高齢者は少ない。ほとんどの高齢者はもっともらしい数表を並べ立て、根拠レスの根拠を言い立てるコメンテーターらの主張に安易に乗ってしまうのだ。一方若手の支持率が高いのは、まず自らの生活が成り立っている基盤を重視するからだ。給料は安倍内閣になって初めて上昇基調をたどり、経済は活況を呈している。外交安保も安倍に任せておけば安心感がある。若年層はそれがワイドショーのフィルターをかけずに分かるのだ。昼間っからワイドショーを見ている社員は首を切られるのが落ちだ。だいいち「ワイドショーでこう言っていた」などと主張すれば、自らの知性、人格を疑われる。それほどコメンテーターなるもののレベルは低いのだ。これが分からないのが高齢者、分かるのが若者であり、これが支持率の「断絶」を形成しているのであろう。
実際にコメンテーターらの反安倍感情はとどまるところを知らぬほどのたかぶりを示している。例を挙げれば、伊藤惇夫は口に出すこと全てが反安倍感情に根ざしているといってよい。安倍が被災地を視察しても「地元に負担をかけている」と批判する。外交日程を終えて最初に駆けつけてもこうした目で批判するのだ。加計疑惑についても「加計さんが友人だから面倒を見ちゃいましたとは言えない」と、名誉毀損すれすれの表現で安倍との関わりを暗示する。前宮城県知事浅野史郎は挙げ足取りの名人だ。何を言っても揚げ足を取る。挙げ足取りをし過ぎて訴訟事件まで招きそうになった。浅野は7月25日放送の「情報ライブミヤネ屋」で、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が民進党の大西健介、蓮舫らに総額1000万円の損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こした裁判についてコメントし、「高須クリニックを悪徳と言っても事実だから名誉毀損にならない」という発言をした。高須は浅野の発言に「提訴する」と息巻いた。結局ミヤネ屋は番組中で公開謝罪した。このレベルの輩がコメンテーターなる存在なのだ。
例えば、安倍が秋葉原で「こんな人たちに負けるわけには行かない」と言ったのを「秋葉原舌禍事件」に仕立て上げてしまったのもコメンテーターらだ。安倍は大音響のスピーカーでがなり立てて選挙演説を妨害する極左暴力集団中核派のメンバーらを指して「こんな人たち」と発言したのだが、コメンテーターらは、連日取り上げてさも一般有権者に対する非難のように仕立て上げた。都議選に致命的な打撃となったのは言うまでもない。フェークニュースを作り上げる印象操作をコメンテーターらはこともなくやり遂げるのだ。それにしても警察当局は大音響の選挙妨害を野放しにしてなぜ取り締まらないのか。怠慢の極みだ。こうした野放図なコメンテーターらの言いたい放題の発言が、この国を再び全体主義国家に誘導しないか、と筆者は心配する。作用には必ず反作用が生ずるのが政治力学の世界である。それを食い止める為の法的措置は既にほどこされている。放送法および電波法に違反した場合には電波法第76条を根拠とした無線局の運用停止や免許の停止・取り消しなどを行うことができると規定されているのだ。過去に椿事件(1993年)がある。当時テレビ朝日の取締役報道局長であった椿貞良が民放連の会合で「自民党政権の存続を絶対に阻止して、なんでもよいから反自民の連立政権を成立させる手助けになるような報道をしようではないか」と発言、テレビ朝日は免停寸前にまでいった。しかし、こうした感情が現在のテレビ朝日やTBSにも連綿と受け継がれている感じは濃厚だ。
このような規制は新聞にはない。その理由は、新聞は読者の“選択”に委ねられており、自らの考えに合致しなければ購読しなければよいからだ。逆に民放は否応なしに視聴者を“洗脳”してしまうほどの影響力を持っている。最近のコメンテーターらの反安倍の言動も、報道に関しては一方的で偏った報道を禁ずる放送法違反の色彩が色濃く浮き出ている。解散・総選挙が接近する中でこのような民放の意図的な反自民戦略を看過、野放しすれば、いずれは反動が生ずる。報道の自由を毀損するような全体主義的な反動を生じさせてはならない。政府自民党は、悪名高き戦前の検閲の繰り返しのような対応をしてはならない。内調などが番組内容を掌握して、民間有識者らによる組織に提示し、同組織ががチェックして、あまりにひどいものは法的な対応を勧告するようなシステムを作ってはどうか。そうでもしなければ、民放はますますつけあがるだけだ。
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