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2017-08-09 00:00
民主系メディアを締め付けるプーチン政権
飯島 一孝
ジャーナリスト
タス通信は7月22日、ロシアの民主系メディア総支配人、デミヤン・クドリャフツェフ氏が裁判所の決定で市民権をはく奪されたと伝えた。連邦移民局へ提出した書類に不備があったためと信頼すべき筋が述べたとされる。来年春の大統領選に向け、民主系メディアを締め付けるのがプーチン政権の狙いとみられる。タス通信によると、クドリャフツェフ氏は民主系経済新聞「ベードモスチ」と英字新聞「モスコー・タイムズ」の総支配人を務めている。1992年2月、旧ソ連からロシアに国名が変わる際、ロシアに在住していた国民は自動的にロシアの市民権を受けたが、同氏は当時イスラエルの市民権しか所持していなかったという。
新生ロシア誕生から四半世紀も経ってから市民権をはく奪されたのは異例で、プーチン政権が政治的な意図を持って摘発した可能性が高い。クドリャフツェフ氏は旧ソ連崩壊後、新興財閥になった一人で、2011年には経済新聞「コメルサント」系の雑誌「ブラスチ」(権力)編集長としてプーチン首相(当時)を中傷する写真を掲載、解雇処分を受けている。
「ベードモスチ」「モスコー・タイムズ」とも民主系の新聞で、プーチン大統領への批判を強めていることから、政権側は市民権はく奪の強硬手段に出たとみられる。信頼すべき筋によると、市民権はく奪により半年間に90日以上、ロシアに滞在できなくなるという。
一方、プーチン大統領は若者との対話集会に出席し、来年3月に予定される次期大統領選への立候補について「まだ決めていない」と述べている。だが、プーチン政権内では立候補は既定方針とされており、早くも反プーチン派への締め付けが始まったと言える。
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