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2017-09-07 00:00
成人年齢引き下げにともなう今後の課題
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
今秋の臨時国会では、いよいよ民法改正案が提出される運びとなった。今回の改正は、主に成年年齢を満20歳から満18歳に引き下げることである。これに関連して、いくつかの法律でも年齢制限を見直すこととなる。大人の年齢を引き下げるきっかけは、平成19年に憲法改正国民投票法を制定する際、諸外国の例にならって投票権年齢を満18歳からにしたことだ。その後選挙権年齢をこれに合わせて満18歳からにしたのが2年前。いずれも与党内、与野党間で調整役を任された私としては、今回の成年年齢引き下げは大変感慨深いものがある。
成年年齢引き下げの意図は、グローバルスタンダードに合わせるというだけでなく、人口減少時代を迎えた我が国が、今後も活力を維持していくために、若い人々に早く確実に自立してもらう必要があるからだ。しかしながらそれにはいくつかのハードルも存在する。大人の年齢を18歳からにすると、酒タバコも18歳から認めるかどうかだ。しかしこれについては、健康上の理由から20歳のままで良いとの意見が大勢を占めるので、現状維持が妥当である。各種ギャンブルの参加権も、依存症の低年齢化に危惧する意見が多く出されており、これも現状維持で良いのではないか。
意見が割れているのが、契約の世界である。成人になると各種契約を一人で行えるとともに、親の権利でその契約を取り消すことが出来なくなるのである。現在も大人になりたての20歳に契約トラブルが集中しており、成人年齢を引き下げれば、トラブルは18歳、19歳にも拡大しかねない。大人の年齢を引き下げても、18歳、19歳は何らかの形で契約トラブルから守るべきとの意見がある一方、折角引き下げたのだから、消費者教育をきちんとした上で、大人として自立させることが重要だとの筋論もある。この件については、私が委員長を務める若年成人の教育・育成に関する特命委員会でも、従来から議論を重ねてきた。
未だ結論は出ていないが、私としては18歳、19歳を契約上の特例とすることは避け、年齢に関わらず「知識不足」「経験不足」にかこつけて、あるいは恐怖心理や好奇心を煽って不当に契約させたものは取り消すことができるという、契約ルールの改善をすべきではないかと考える。このことは高齢者を狙った悪徳商法の撃退にも通用するのではないか。この度の大人の年齢の引き下げという、画期的な制度改正を成功させるためには、国民の間の着実な理解を醸成するとともに、消費者教育の充実など、きめ細かな準備が不可欠である。
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