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2017-10-07 00:00
「瓦版狂老人」の日々
杉浦 正章
政治評論家
毎日知人に送る「今朝のニュース解説」は時事通信を退職後開始して10年余りとなる。メールと同時に掲載しているブログ「永田町幹竹割り」の総閲覧数累計が1000万を突破した。これにメール送信分や日本国際フォーラムの掲示板への転載分を加えると総閲覧数は10倍の1億近いのではないかと思われる。ソネットのニュース部門での読者数は6126ブログ中1位を続けている。若い頃から政治部に配属され、以後編集局長で退社するまでニュース一筋の人生であったが、なおも続いている。我ながらよく継続したと思う。ニュース評論といっても空想小説の類いと異なり、ファクトを抑えなければならないから、一本の記事を書くのに丸一日かかる。朝からネットのニュースやTVのニュース番組やトークショウなどを見てひっかかるものを全てメモにする。土日は原則書かないが、ニュースの収集を続ける。夕方5時には食事を取って、ビール一缶と焼酎かウイスキーの水割りを一杯飲む。食後電動「乗馬」を15分やり、一時間電気マッサージにかかる。午後7時には床につき、5時間ぐっすり眠る。この方式は田中角栄の仕事のやり方から学んだ。角さんも夜中に起き出して書類を読んだり仕事をするタイプであった。大平正芳の総裁選の時には投票依頼の電話を午前3時から明け方まで北海道から鹿児島まで全国各地の知人にかけたものだ。
筆者は午前2時頃から執筆にかかり4時頃までには4千字の記事を書き上げる。取っている新聞5紙に目を通し、それから1時間仮眠を取る。原稿を最終チェックして午前7時頃までに送信する。昔1970年代のワシントン特派員時代に、評論家ジャック・アンダーソンが書く政治評論「ワシントン・メリーゴーラウンド」を読んでその読みの深さと裏からの切り口に感動して、いつか真似をしようと心に誓ったものだった。年末で77歳になるがまだまだ、政治判断力と洞察力は若い記者などには負けない。1760年から1849年まで生きた葛飾北斎は60を超えて天才の領域に達し、90歳で死ぬまで名作を数多く残している。「神奈川沖浪裏図」は1823年の作だ。小生もこの「画狂老人」の域に達さなければならないと思っている。確かに年を取ると見えないものが見えてくるのだ。縷々(るる)こまごまと、自ら築いた「その日に分かるニュース解説」のノウハウを教えたが、報道機関出身の優秀な政治記者なら誰でも可能だ。しかしほとんどの記者は退社すると疲れ果ててふぬけ老人状態に陥るから「瓦版狂老人」は無理かもな。第一無料奉仕など誰もしない。とばかりに煽る。
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