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2017-10-30 00:00
韓国高裁の「帝国の慰安婦」有罪判決を問題視せよ
赤峰 和彦
自営業
『帝国の慰安婦』の著者、朴裕河(パクユハ)世宗大教授に対し、ソウル高裁は一審の無罪判決を破棄し、名誉毀損罪として有罪判決を下しました。朴氏の論文は歴史資料や史実に基づいた研究結果を書籍にしたものですが、一部の市民団体や韓国メディアによって「親日的研究」とされ、その世論を支持した裁判所によって有罪とされました。法治国家とは国家におけるすべての決定や判断を、国家が定めた法律に基づいて行うのですが、韓国では国民感情に合いさえすれば行政・立法・司法は実定法に拘束されず判断・判決を出せることになっており、決して法治国家とは言えません。このため、国際法のルールに基づいた条約や合意なども国民の反発を理由に無視することがたびたびあります。
とくに、わが国に対しては、1965年の日韓基本条約を無効だと主張しはじめたり、2015年の最終的かつ不可逆的な解決を確認した慰安婦合意の履行を果たさないなど、国際社会では通用しない行動を取ります。法が機能しない野蛮な国家と言わざるを得ません。日本の尊厳を根底から否定する韓国高裁の判決に対し、日本政府やメディアは及び腰になっています。徴用工裁判の際に日本政府が「問題は解決済み」としたように、「判決は歴史的事実とは異なり極めて遺憾」との声明を即刻出すべきです。日本政府の正当な抗議は韓国国民に慰安婦問題に関する歴史観の真偽を考えるきっかけを与えることにもなるはずです。
『帝国の慰安婦』判決に対して日本のメディアの報道は少なく、せいぜい「学問の自由を萎縮させる」程度の扱いでしかありません。日本の国家の根幹と日本人の尊厳を傷つける判決であるとの論調は皆無でした。日本のメディアは、慰安婦問題によって日本の名誉がいかに毀損されたかという認識が無いようです。テレビの報道番組ではほとんど取り上げず、日ごろ国家のあり方や外交問題を論ずる識者や評論家といわれる人たちも、判決に異を唱える人が見当たりません。実際に慰安婦問題解決のため地道に活動しているのはGAHT(歴史の真実を求める世界連合会)などの有志にすぎません。これでは、慰安婦=性奴隷と信じ込まされている人が世界に多数存在し続けることになります。
中国や韓国は歴史的事実を歪曲化し、それを政治問題に利用しています。日本政府は中国や韓国に対し、国家としての毅然とした対抗措置を取らない限り、この問題に終止符を打つことができません。日本人は、外国からの悪意ある主張に沈黙する傾向がありますが、ユネスコの問題に見られるように、日本政府が毅然たる姿勢を示すことで状況を好転させる積極性が求められます。今後も日本人はエゴが錯綜する国際社会の中にあって、悪を助長させることなく、正しいことは正しい、真実は真実であると堂々と主張し続けなければならないと考えます。
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