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2017-11-10 00:00
中国とは是々非々でArm’s Lengthの関係を築くべし
四方 立夫
エコノミスト
中国共産党大会が閉幕し習近平一強体制が構築されつつある。鄧小平が改革解放を唱え、胡錦涛が限定的ながらも自由化及び民主化を進め集団指導体制に向い、中国が世界の中でStakeholderとして重要な役割を果たすようになるかと見えたのも束の間、習近平が「中国の夢」を掲げ大国主義を前面に出すようになって以来、対中貿易は減少し始め投資は激減している。今回の党大会で企業の定款に共産党支配が銘記され、それが国営企業のみならず外国企業を含む民間企業にまで広がりつつあることは、従来よりビジネス界で言われていた「中国では“Contract is Not Contract.”である」を裏書きするものとなり、外国企業は中国に対する新規大型長期投資に二の足を踏むことになる。
又、中国の巨額の負債、ゾンビ企業、過剰生産、過剰在庫の問題は共産党トップの利権と密接に関わっていることからその処理は困難であり、「市場経済と独裁体制の根本的矛盾」が益々拡大し、中国経済が拡大しながらも混乱をきたし世界に多大な影響を与える陥れがある。これを習近平に対する個人崇拝化によって抑え込んでいこうとしていることは「いつか来た道」を思い起こさせるものである。一方、AIIB、一帯一路、「経済援助/支援」によりアジア諸国を経済的に囲い込み、勢力圏を拡大するのみならず、戦後の繁栄の礎であるLiberal Democracyのルールに挑戦し、新たに中国のルールによる席巻を図ろうとしているように思われる。片や自由主義の盟主であるはずの米国がTPPから離脱を表明したことは、自らその由って来る原理原則を放棄するものであり、アジア諸国の間には米国のプレゼンスに対する懸念が広がっている。
かかる状況下、日本が主体となってTPP11を締結し、先に締結した日EU EPA、及び加欧FTA等により米国の周囲にFTAのNetworkを構築し、近い将来米国を何らかの形でmega-FTAに呼び戻し、Liberal Democracyのルールに基づいたRCEPそしてFTAAPへと発展させ、ゆくゆくは中国もかかる共通のルールに基いて行動するように導いていくことが肝要である。更に、安倍政権が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」は今後我が国が主体となってこの地域の平和と繁栄を確保するものであり、日本外交の真価が試される時である。権力を手中にした習近平は今後日本に対し、最重要国内課題である環境と健康に関する日本の技術と資金を求めて「微笑外交」を仕掛けてくる可能性もあるが、我が国はこれに幻惑されることなく、中国のリスクを冷静に見極めながら是々非々で対応し共通の利益を追求するArm’s Lengthの関係を築いていくことが重要である。
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